数学ビジュアライズ

代数幾何図で読む代数幾何第9回

交点を重複度つきで数える:ベズーの定理

2つの平面曲線の交点重複度を、局所環を割った環の次元として定義し、接点・変曲点・結節点・尖点で数を入れて計算します。直線と曲線では交点の合計が次数に等しいことを証明し、射影平面のベズーの定理を2つの円や3次曲線で確かめます。

目次
  1. 前回の宿題
  2. 交点重複度の定義
  3. 交点重複度の性質
  4. 数を入れて計算する
  5. 射影平面で数える:直線と曲線
  6. ベズーの定理
  7. 実数だけでは交点が足りない
  8. まとめ:交点重複度の表
  9. 次回:曲線の上の関数の零点と極
  10. 参考文献
この記事の要点
交点重複度
平面曲線 f=0f=0 と g=0g=0 の点 pp での交点重複度は、局所環を2つの式で割った環の次元 Ip(f,g)=dim⁡kOp/(f,g)I_p(f,g)=\dim_k\mathcal{O}_p/(f,g) です。接点では2、変曲点の接線では3のように、重なった交点を何個分と数えるかを決めます。
計算の道具
Ip(f,g)=Ip(f,g+qf)I_p(f,g)=I_p(f,g+qf)、Ip(f,gh)=Ip(f,g)+Ip(f,h)I_p(f,gh)=I_p(f,g)+I_p(f,h) と、直線との交点重複度は「直線に制限した1変数の多項式の根の重複度」であることを使うと、手で計算できます。
直線と曲線
射影平面で、次数 dd の曲線と直線(曲線の成分でないもの)の交点重複度の和は、ちょうど dd です。2変数の dd 次斉次式がちょうど dd 個の1次式に分解することから従います。
ベズーの定理
共通成分のない次数 d,ed,e の射影曲線の交点重複度の和は dede です。2つの円の交点は、平面の2点と無限遠の2点 [0:1:±i][0:1:\pm i] を合わせて4個になります。
  • 証明は、ステップの流れだけを短く書いています。「詳しく」の付いた行をクリックすると、そのステップの詳しい説明が開きます。説明の中にも開ける行があります。
  • 定義・命題・定理には、記事全体で通し番号を振っています。
  • もう少し詳しくは補足、専門的な話は先の回につながる話題です。どちらも開かずに読み進められます。
  • 各ブロックの「AIに質問」を押すと、その部分の内容を入れた質問文で、お使いのAIを開けます。

前回の宿題

第5回の最後で、ベズーの定理を名前だけ紹介しました(第5回の定理12)。射影平面の2つの曲線の交点を「重複度こみで」数えると、ちょうど次数の積になる、という定理です。

そのときは、重複度を気にしなくてよい例だけを確かめました。例えば放物線 y=x2y=x^2 と縦の直線 x=cx=c は、平面の点 (c,c2)(c,c^2) と無限遠点 [0:0:1][0:0:1] の2点で交わり、1⋅2=21\cdot2=2 に合います(第5回の例13)。

しかし、放物線と横の直線 y=0y=0 の交点は原点だけです。無限遠点もありません。それでも「2個」と数えたいなら、原点を2回数える理由が要ります。

手がかりは第8回にあります。直線 y=cy=c と放物線の交わりの環は k[x]/(x2−c)k[x]/(x^2-c) で、c≠0c\neq0 なら2点、c=0c=0 なら重なった点 k[x]/(x2)k[x]/(x^2) でした(第8回の例10(3)、第2回の命題15)。どちらの場合も、環は kk 上2次元です。

この記事では、この「環の次元」で交点重複度を定義します。性質と計算の道具をそろえて、接点・変曲点・特異点での重複度を数で求めます。最後に射影平面に戻り、直線と曲線についてはベズーの定理を証明し、一般の場合は例で確かめます。

とくに断らなければ、kk は代数閉体とします。数を入れた例は k=Ck=\mathbb{C} で計算します。ハーツホーン和訳の第 I 章は、零点集合 V(f)V(f) を Z(f)Z(f) と書いています。

交点重複度の定義

点のまわりだけを見るために、局所化を使います(第3回の定義10)。平面 A2\mathbb{A}^2 の点 p=(a,b)p=(a,b) に対応する極大イデアルを Mp=(x−a, y−b)M_p=(x-a,\ y-b) とし、

Op=k[x,y]Mp={us : u,s∈k[x,y], s(p)≠0}\mathcal{O}_p=k[x,y]_{M_p}=\Bigl\{\frac{u}{s}\ :\ u,s\in k[x,y],\ s(p)\neq0\Bigr\}Op=k[x,y]Mp={us : u,s∈k[x,y], s(p)≠0}\begin{aligned}\mathcal{O}_p &= k[x,y]_{M_p}\\&= \Bigl\{\frac{u}{s}\ :\ u,s\in k[x,y],\ s(p)\neq0\Bigr\}\end{aligned}

を pp での平面の局所環と呼びます。pp で値が0でない多項式は、Op\mathcal{O}_p の中で逆元をもちます。第3回の言葉では、Spec⁡k[x,y]\operatorname{Spec}k[x,y] の閉点 MpM_p での構造層の茎です(第3回の定理14)。

定義1 交点重複度 [1, 演習5.4, p.50; 2, §3.3 定理3, p.37]

f,g∈k[x,y]f,g\in k[x,y] を、共通の因子(定数でない共通の約数)をもたない多項式とする。点 p∈A2p\in\mathbb{A}^2 について

Ip(f,g)=dim⁡k Op/(f,g)OpI_p(f,g)=\dim_k\ \mathcal{O}_p/(f,g)\mathcal{O}_pIp(f,g)=dim⁡k Op/(f,g)Op\begin{aligned}I_p(f,g) &= \dim_k\ \mathcal{O}_p/(f,g)\mathcal{O}_p\end{aligned}

を、曲線 V(f)V(f) と V(g)V(g) の pp での交点重複度と呼ぶ。

ハーツホーンは、Op/(f,g)\mathcal{O}_p/(f,g) の Op\mathcal{O}_p 加群としての長さで定義しています。剰余体 Op/M\mathcal{O}_p/M が kk なので、加群の長さは kk 上の次元に一致し、上の定義と同じになります。

まず、宿題の例を計算します。

例2 放物線と横の直線

f=y−x2f=y-x^2、g=y−cg=y-c(c∈kc\in k)とする。y=cy=c を代入すると

k[x,y]/(y−x2, y−c)≅ k[x]/(x2−c)\begin{aligned} &k[x,y]/(y-x^2,\ y-c)\\ &\quad\cong\ k[x]/(x^2-c)\end{aligned}

(1) c=0c=0 のとき、交点は原点だけで、O0/(y−x2, y)≅k[x](x)/(x2)\mathcal{O}_0/(y-x^2,\ y)\cong k[x]_{(x)}/(x^2) は 1, x1,\ x を基底とする2次元の空間である。よって I0(f,g)=2I_0(f,g)=2。
(2) c≠0c\neq0 で標数が2でないとき、交点は (±c, c)(\pm\sqrt c,\ c) の2点で、どちらでも Ip(f,g)=1I_p(f,g)=1 である。

証明
  1. (1) O0\mathcal{O}_0 で y−x2y-x^2 と yy が生成するイデアルは、yy と x2x^2 で生成される。
  2. O0/(y)≅k[x](x)\mathcal{O}_0/(y)\cong k[x]_{(x)} で、さらに x2x^2 で割ると k[x](x)/(x2)≅k[x]/(x2)k[x]_{(x)}/(x^2)\cong k[x]/(x^2) になる。これは 1, x1,\ x を基底とする2次元の空間である。

    最後の同型は、xx で割り切れない多項式 ss が k[x]/(x2)k[x]/(x^2) の中でもともと逆元をもつことによる。s=s0+s1x+⋯s=s_0+s_1x+\cdots(s0≠0s_0\neq0)なら、s⋅(s0−1−s1s0−2x)≡1(modx2)s\cdot(s_0^{-1}-s_1s_0^{-2}x)\equiv1\pmod{x^2} である。

  3. (2) p=(s,c)p=(s,c)(s2=cs^2=c)では、Op/(y−x2, y−c)≅k[x](x−s)/(x2−c)\mathcal{O}_p/(y-x^2,\ y-c)\cong k[x]_{(x-s)}/(x^2-c)。x2−c=(x−s)(x+s)x^2-c=(x-s)(x+s) で、x+sx+s は x=sx=s で値 2s≠02s\neq0 をとる単元なので、これは k[x](x−s)/(x−s)≅kk[x]_{(x-s)}/(x-s)\cong k で1次元。

c≠0c\neq0 では1と1、c=0c=0 では2で、合計はいつも2です。これは、第8回で見た「環 k[x]/(x2−c)k[x]/(x^2-c) はいつも2次元」ということを、点ごとに分けて数えたものです(第8回の例11)。

(1) の基底 1, x1,\ x は、第2回・第3回の重なった点 k[x]/(x2)k[x]/(x^2) と同じく、「値」と「xx 方向の傾き」を表しています(第2回の例14)。直線 y=0y=0 の上で y−x2=−x2y-x^2=-x^2 は、原点で値も傾きも0になります。値だけでなく傾きまで一致することが、「2回分」の中身です。

y=1y=1
y=0.36y=0.36
y=0.09y=0.09
y=0y=0
接点:2点が重なる
y=x2y=x^2 と y=cy=c:x2=cx^2=c
y=xy=x
y=0.36xy=0.36x
y=0.09xy=0.09x
y=0y=0
変曲点:3点が重なる
y=x3y=x^3 と y=mxy=mx:x3=mxx^3=mx
図1具体例左:放物線 y=x2y=x^2(青)と直線 y=cy=c(灰色)の交点は x=±cx=\pm\sqrt c で、c=1, 0.36, 0.09c=1,\ 0.36,\ 0.09 と下げると2点が近づき、c=0c=0 で接線 y=0y=0(オレンジ)の原点1点に重なります。右:y=x3y=x^3 と直線 y=mxy=mx の交点は x=0, ±mx=0,\ \pm\sqrt m の3点で、m→0m\to0 で変曲点の接線 y=0y=0 の原点1点に重なります。重なった点の交点重複度はそれぞれ2と3で、近づいてきた点の個数に一致します。点は方程式から計算し、両方の式をみたすことを図を作るプログラムで確かめています。

交点重複度の性質

例を計算する前に、道具をそろえます。最初の命題は、各点の交点重複度をまとめて1つの環の次元で計算できる、というものです。

命題3 各点の和は1つの環の次元 [2, §2.9 命題6, p.27; 3, 定理8.7, p.140; 4, 定理2.33, p.76]

f,g∈k[x,y]f,g\in k[x,y] が共通の因子をもたないとする。このとき V(f)∩V(g)V(f)\cap V(g) は有限集合で、k[x,y]/(f,g)k[x,y]/(f,g) は有限次元であり、

k[x,y]/(f,g)≅∏p∈V(f)∩V(g)Op/(f,g)Op∑pIp(f,g)=dim⁡k k[x,y]/(f,g)\begin{aligned} &k[x,y]/(f,g)\\ &\quad\cong\prod_{p\in V(f)\cap V(g)}\mathcal{O}_p/(f,g)\mathcal{O}_p\\[4pt] &\sum_{p}I_p(f,g)\\ &\quad=\dim_k\,k[x,y]/(f,g)\end{aligned}
証明
  1. ff と gg は、有理関数体 k(x)k(x) 上の多項式環 k(x)[y]k(x)[y] の中でも共通の因子をもたない(ガウスの補題)。よって af+bg=1af+bg=1 となる a,b∈k(x)[y]a,b\in k(x)[y] があり、分母を払うと a′f+b′g=r(x)a'f+b'g=r(x) となる0でない r∈k[x]r\in k[x] が得られる。

    k(x)[y]k(x)[y] は単項イデアル整域なので、f,gf,g の最大公約元 hh について af+bg=haf+bg=h と書ける。hh の yy についての次数が1以上なら、ガウスの補題で k[x][y]k[x][y] の中の共通の因子が得られて仮定に反する。よって hh は k(x)k(x) の0でない元で、両辺を hh で割ればよい。

  2. 同じように、0でない s(y)∈(f,g)s(y)\in(f,g) もある。よって k[x,y]/(f,g)k[x,y]/(f,g) は xiyjx^iy^j(i<deg⁡ri<\deg r、j<deg⁡sj<\deg s)で張られ、有限次元である。共通の零点の xx 座標は rr の根、yy 座標は ss の根なので、V(f)∩V(g)V(f)\cap V(g) は有限集合である。
  3. 有限次元の環 R=k[x,y]/(f,g)R=k[x,y]/(f,g) はアルティン環で、その極大イデアルは V(f)∩V(g)V(f)\cap V(g) の点 pp の MpM_p である。アルティン環の構造定理により、R≅∏pRMpR\cong\prod_pR_{M_p} となる。

    零点定理により、k[x,y]k[x,y] の極大イデアルは MpM_p の形で、(f,g)(f,g) を含むことと p∈V(f)∩V(g)p\in V(f)\cap V(g) は同値である。構造定理の R≅∏RMR\cong\prod R_{M} の形は、後藤・渡辺の定理2.33 による。

  4. 局所化と剰余環はとる順序を入れ替えられるので、RMp≅Op/(f,g)OpR_{M_p}\cong\mathcal{O}_p/(f,g)\mathcal{O}_p である。両辺の次元を比べると、和の式が従う。

とくに Ip(f,g)I_p(f,g) は有限です。右辺の dim⁡kk[x,y]/(f,g)\dim_k k[x,y]/(f,g) は、グレブナー基底を使うと計算機で求められます。この記事の例では、各点の値とその和を、この命題を使って計算機でも確かめています。

次に、交点重複度の基本的な性質をまとめます。重複度 μp(f)\mu_p(f) は第6回の定義14のとおり、pp を原点に移したときの ff の最低次の部分の次数です。

命題4 交点重複度の性質 [2, §3.3 (1)–(7), p.36–37; 1, 演習5.4(a), p.50]

f,g,h∈k[x,y]f,g,h\in k[x,y] とし、ff と ghgh は共通の因子をもたないとする。p∈A2p\in\mathbb{A}^2 とする。

(1) Ip(f,g)=0I_p(f,g)=0 となるのは、p∉V(f)∩V(g)p\notin V(f)\cap V(g) のとき、そのときに限る。
(2) Ip(f,g)=Ip(g,f)=Ip(f, g+qf)I_p(f,g)=I_p(g,f)=I_p(f,\ g+qf)(q∈k[x,y]q\in k[x,y])。平行移動と、変数の正則な1次変換で pp を p′p' に移すと、交点重複度は変わらない。
(3) Ip(f,gh)=Ip(f,g)+Ip(f,h)I_p(f,gh)=I_p(f,g)+I_p(f,h)。
(4) Ip(f,g)≥μp(f) μp(g)I_p(f,g)\geq\mu_p(f)\,\mu_p(g) で、等号が成り立つのは、pp での接錐が共通の直線をもたないとき、そのときに限る。

(4) の不等式はハーツホーンの演習5.4(a)、等号の条件は Fulton の §3.3 にあります。(4) の証明は Fulton に任せ、(1)〜(3) を示します。

証明
  1. (1) f(p)≠0f(p)\neq0 なら ff は Op\mathcal{O}_p の単元で、Op/(f,g)=0\mathcal{O}_p/(f,g)=0。g(p)≠0g(p)\neq0 でも同じ。両方が pp で0なら、(f,g)Op(f,g)\mathcal{O}_p は極大イデアル MM に含まれ、Op/(f,g)\mathcal{O}_p/(f,g) は Op/M≅k\mathcal{O}_p/M\cong k に全射するので、次元は1以上である。
  2. (2) どれもイデアル (f,g)Op(f,g)\mathcal{O}_p が変わらないか、環の同型で移り合うだけである。

    (f, g+qf)=(f,g)(f,\ g+qf)=(f,g) である。座標の取り替え TT は環の同型 k[x,y]→k[x,y]k[x,y]\to k[x,y] を引き起こし、Mp′M_{p'} を MpM_p に移すので、局所環の同型 Op′≅Op\mathcal{O}_{p'}\cong\mathcal{O}_p を与える。

  3. (3) O=Op\mathcal{O}=\mathcal{O}_p とする。次の列が完全であることを示せば、次元を足して (3) が従う。左の矢印は gg を掛ける写像、右の矢印は自然な全射である。 0⟶O/(f,h)→ ⋅g O/(f,gh)⟶O/(f,g)⟶00\longrightarrow\mathcal{O}/(f,h)\xrightarrow{\ \cdot g\ }\mathcal{O}/(f,gh)\longrightarrow\mathcal{O}/(f,g)\longrightarrow00⟶O/(f,h)→ ⋅g O/(f,gh)⟶O/(f,g)⟶0\begin{aligned}0 &\longrightarrow \mathcal{O}/(f,h)\xrightarrow{\ \cdot g\ }\mathcal{O}/(f,gh)\\&\longrightarrow \mathcal{O}/(f,g)\\&\longrightarrow 0\end{aligned}
    1. 右の矢印の核は (f,g)/(f,gh)(f,g)/(f,gh) で、これは左の矢印の像である。
    2. 左の矢印が単射であることを示す。gz=uf+vghgz=uf+vgh(u,v∈Ou,v\in\mathcal{O})なら g(z−vh)=ufg(z-vh)=uf。ff と gg は O\mathcal{O} の中でも共通の素因子をもたないので、ff が z−vhz-vh を割り切り、z∈(f,h)z\in(f,h) となる。

      O\mathcal{O} は一意分解整域 k[x,y]k[x,y] の局所化なので一意分解整域で、その素元は、pp で0になる k[x,y]k[x,y] の既約多項式(の単元倍)である。既約多項式 qq が O\mathcal{O} の中で ff を割り切る、つまり sf=qasf=qa(s(p)≠0s(p)\neq0)なら、q(p)=0q(p)=0 なので q∤sq\nmid s で、q∣fq\mid f となる。よって O\mathcal{O} の中の共通の素因子は、k[x,y]k[x,y] の中の共通の因子になる。

(4) の等号の条件から、交点重複度が1になる場合が分かります。この場合は、第6回の定義10の M/M2M/M^2 を使って直接示せます。

系5 横に交わる点

p∈V(f)∩V(g)p\in V(f)\cap V(g) とする。Ip(f,g)=1I_p(f,g)=1 となるのは、μp(f)=μp(g)=1\mu_p(f)=\mu_p(g)=1(pp が両方の曲線の非特異点)で、pp での2本の接線が異なるとき、そのときに限る。

証明
  1. pp を原点とし、O=O0\mathcal{O}=\mathcal{O}_0、M=(x,y)OM=(x,y)\mathcal{O}、J=(f,g)O⊆MJ=(f,g)\mathcal{O}\subseteq M とする。dim⁡O/M=1\dim\mathcal{O}/M=1 なので、I0=1  ⟺  J=MI_0=1\iff J=M。
  2. 中山の補題により、J=M  ⟺  J+M2=MJ=M\iff J+M^2=M。

    J+M2=MJ+M^2=M なら、N=M/JN=M/J について MN=NMN=N となる。NN は有限生成の O\mathcal{O} 加群なので、中山の補題から N=0N=0。逆は明らか。

  3. M/M2=kxˉ⊕kyˉM/M^2=k\bar x\oplus k\bar y は2次元で(第6回の例13)、f,gf,g の像は1次の部分 f1,g1f_1,g_1 である。よって J+M2=M  ⟺  f1,g1J+M^2=M\iff f_1,g_1 が1次独立。
  4. f1,g1f_1,g_1 が1次独立であることは、どちらも0でなく(μ0=1\mu_0=1)、比例しない(接線 V(f1)≠V(g1)V(f_1)\neq V(g_1))ことと同じである(第6回の命題15)。

最後に、片方が直線のときの計算法です。直線に沿って ff を1変数の多項式に制限し、その根の重複度を見れば済みます。

命題6 直線との交点重複度

LL を点 pp を通る直線とし、ℓ\ell をその1次式、v≠0v\neq0 をその方向とする(L={p+tv}L=\{p+tv\})。ℓ\ell が ff を割り切らなければ、f(p+tv)f(p+tv) は tt の0でない多項式で、

Ip(f,ℓ)=ord⁡t=0 f(p+tv)I_p(f,\ell)=\operatorname{ord}_{t=0}\,f(p+tv)Ip(f,ℓ)=ord⁡t=0 f(p+tv)\begin{aligned}I_p(f,\ell) &= \operatorname{ord}_{t=0}\,f(p+tv)\end{aligned}

である。右辺は t=0t=0 が f(p+tv)f(p+tv) の何重根か(trt^r で割り切れる最大の rr)を表す。

証明
  1. 命題4(2) により、座標を取り替えて p=(0,0)p=(0,0)、v=(1,0)v=(1,0)、L={y=0}L=\{y=0\} としてよい。ℓ\ell は yy の定数倍になり、f(p+tv)=f(t,0)f(p+tv)=f(t,0) である。
  2. y∤fy\nmid f なので f(x,0)≠0f(x,0)\neq0 で、f(x,0)=xr u(x)f(x,0)=x^r\,u(x)、u(0)≠0u(0)\neq0 と書ける。r=ord⁡t=0f(t,0)r=\operatorname{ord}_{t=0}f(t,0) である。
  3. O0/(f,y)≅k[x](x)/(f(x,0))=k[x](x)/(xr)\mathcal{O}_0/(f,y)\cong k[x]_{(x)}/(f(x,0))=k[x]_{(x)}/(x^r) で、これは 1,x,…,xr−11,x,\dots,x^{r-1} を基底とする rr 次元の空間である。

    yy で割ると O0/(y)≅k[x](x)\mathcal{O}_0/(y)\cong k[x]_{(x)} で、ff は f(x,0)f(x,0) に移る。uu は k[x](x)k[x]_{(x)} の単元なので、(xru)=(xr)(x^ru)=(x^r)。最後の基底は例2の証明と同じ理由による。

数を入れて計算する

k=Ck=\mathbb{C} とします。命題6を使うと、直線との交点重複度は代入だけで求まります。

例7 接点と変曲点

(1) y=x3y=x^3 と y=0y=0:f(t,0)=−t3f(t,0)=-t^3 なので I0=3I_0=3。O0/(y−x3, y)\mathcal{O}_0/(y-x^3,\ y) の基底は 1, x, x21,\ x,\ x^2。
(2) y=x3y=x^3 と y=mxy=mx(m≠0m\neq0):f(t,mt)=mt−t3=−t(t−m)(t+m)f(t,mt)=mt-t^3=-t(t-\sqrt m)(t+\sqrt m) なので、3点 x=0, ±mx=0,\ \pm\sqrt m でそれぞれ I=1I=1。
(3) 円 x2+y2=1x^2+y^2=1 と x=1x=1:点 (1,0)(1,0) から方向 (0,1)(0,1) に進むと f(1,t)=t2f(1,t)=t^2 なので、I(1,0)=2I_{(1,0)}=2。基底は 1, y1,\ y。
(4) 放物線 y=x2y=x^2 と y=−x2y=-x^2:交点は原点だけで、(y−x2, y+x2)=(y, x2)(y-x^2,\ y+x^2)=(y,\ x^2) より I0=2I_0=2。基底は 1, x1,\ x。

(1) で原点は y=x3y=x^3 の変曲点で、接線 y=0y=0 が3重に交わっています。(2) の3点が m→0m\to0 で原点に集まる様子は、図1の右に描きました。

(4) は、直線でない2つの曲線が接する例です。どちらも原点で非特異(μ0=1\mu_0=1)ですが、接線が同じ y=0y=0 なので、命題4(4) の等号は成り立たず、I0=2>1⋅1I_0=2>1\cdot1 です。(4) のイデアルの計算では 2x22x^2 を2で割っているので、標数が2でないことを使っています(標数2では2つの式が同じ曲線になり、共通の因子をもちます)。

次は特異点です。第6回の結節点と尖点に、原点を通る直線を通します(第6回の例4)。

例8 結節点と尖点を通る直線

(1) 結節点 f=y2−x2(x+1)f=y^2-x^2(x+1) と直線 y=mxy=mx:

f(t,mt)=m2t2−t3−t2=t2 (m2−1−t)f(t,mt)=m^2t^2-t^3-t^2=t^2\,(m^2-1-t)f(t,mt)=m2t2−t3−t2=t2 (m2−1−t)\begin{aligned}f(t,mt) &= m^2t^2-t^3-t^2\\&= t^2\,(m^2-1-t)\end{aligned}

m≠±1m\neq\pm1 なら、原点で I0=2I_0=2、もう1点 t=m2−1t=m^2-1、つまり (m2−1, m(m2−1))\bigl(m^2-1,\ m(m^2-1)\bigr) で I=1I=1。m=±1m=\pm1 なら原点だけで I0=3I_0=3。例えば m=12m=\tfrac12 では、原点で2、点 (−34,−38)(-\tfrac34,-\tfrac38) で1。

(2) 尖点 f=y2−x3f=y^2-x^3 と、y=0y=0:f(t,0)=−t3f(t,0)=-t^3 で I0=3I_0=3。x=0x=0:f(0,t)=t2f(0,t)=t^2 で I0=2I_0=2。y=mxy=mx(m≠0m\neq0):f(t,mt)=t2(m2−t)f(t,mt)=t^2(m^2-t) で、原点で2、点 (m2,m3)(m^2,m^3) で1。

原点での値を、命題4(4) と照らし合わせます。結節点も尖点も μ0=2\mu_0=2 で、直線は μ0=1\mu_0=1 なので、下限は 2⋅1=22\cdot1=2 です。

結節点の接錐は y=±xy=\pm x、尖点の接錐は y=0y=0 でした(第6回の例16)。接錐の直線を選ぶと3になり、ほかの直線を選ぶとちょうど2になります。どちらの曲線でも、等号の条件のとおりです。

交点の合計にも注目してください。結節点と直線 y=mxy=mx は、m≠±1m\neq\pm1 なら 2+12+1、m=±1m=\pm1 なら 33 で、どちらも3です。m→1m\to1 で、2つ目の点 (m2−1, m(m2−1))(m^2-1,\ m(m^2-1)) が原点に近づき、原点の2と合わさって3になります。

結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1)
μ0=2\mu_0=2、接錐は y=±xy=\pm x
緑 y=12xy=\tfrac12x:原点で 22、もう1点で 11
オレンジ y=xy=x(接錐の直線):原点で 33
尖点 y2=x3y^2=x^3
μ0=2\mu_0=2、接錐は y=0y=0(2重)
緑 x=0x=0:原点で 22
オレンジ y=0y=0(接錐の直線):原点で 33
図2具体例左:結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1)(青)と、直線 y=12xy=\tfrac12x(緑)、接錐の直線 y=xy=x(オレンジ)。緑の直線は原点で重複度2、点 (−34,−38)(-\tfrac34,-\tfrac38) で重複度1で交わり、オレンジの直線は原点だけで重複度3で交わります。右:尖点 y2=x3y^2=x^3 と、直線 x=0x=0(緑、重複度2)、接錐の直線 y=0y=0(オレンジ、重複度3)。下限 μ0(f)μ0(g)=2\mu_0(f)\mu_0(g)=2 を超えるのは、接錐の直線を選んだときだけです。実数の点だけを描いています。

2つの円の交わりも計算しておきます。f=x2+y2−1f=x^2+y^2-1、g=(x−1)2+y2−1g=(x-1)^2+y^2-1 とすると、命題4(2) から

Ip(f,g)=Ip(f, f−g)=Ip(f, 2x−1)I_p(f,g)=I_p(f,\ f-g)=I_p(f,\ 2x-1)Ip(f,g)=Ip(f, f−g)=Ip(f, 2x−1)\begin{aligned}I_p(f,g) &= I_p(f,\ f-g)\\&= I_p(f,\ 2x-1)\end{aligned}

右辺は円と直線 x=12x=\tfrac12 の交わりで、f(12,y)=y2−34f(\tfrac12,y)=y^2-\tfrac34 から、2点 (12,±32)(\tfrac12,\pm\tfrac{\sqrt3}2) でそれぞれ1です。平面の中の交点は、この2つで全部です。

射影平面で数える:直線と曲線

射影平面の曲線は、斉次多項式 F(x0,x1,x2)F(x_0,x_1,x_2) の零点 V+(F)V_+(F) です(第5回の定義7)。点 pp での交点重複度は、pp を含む標準的な開集合 Ui={xi≠0}U_i=\{x_i\neq0\} で計算します。

定義9 射影平面での交点重複度 [1, 演習5.4(c), p.50]

F,GF,G を共通の因子をもたない斉次多項式とし、p∈P2p\in\mathbb{P}^2 が UiU_i に入るとする。xi=1x_i=1 とおいた多項式を f,gf,g(Ui≅A2U_i\cong\mathbb{A}^2 の座標の多項式)として、

Ip(F,G)=Ip(f,g)I_p(F,G)=I_p(f,g)Ip(F,G)=Ip(f,g)\begin{aligned}I_p(F,G) &= I_p(f,g)\end{aligned}

と定める。

この定義には、確かめることが2つあります。f,gf,g が共通の因子をもたないこと(定義1を使うための仮定)と、値が ii の選び方によらないことです。

証明
  1. ff と gg は共通の因子をもたない。共通の因子 hh があれば、hh を斉次化した式が FF と GG の共通の因子になるからである。

    i=0i=0 とする。多項式 uu の斉次化を u∗=x0deg⁡u u(x1/x0, x2/x0)u^*=x_0^{\deg u}\,u(x_1/x_0,\ x_2/x_0) と書くと、(uv)∗=u∗v∗(uv)^*=u^*v^* で、F=x0d−deg⁡ff∗F=x_0^{d-\deg f}f^* である。f=huf=hu なら F=x0d−deg⁡fh∗u∗F=x_0^{d-\deg f}h^*u^* なので、h∗h^* は FF を割り切る。GG も同じである。hh が定数でなければ h∗h^* は次数 deg⁡h≥1\deg h\geq1 の斉次式なので、F,GF,G の仮定に反する。

    xi=1x_i=1 とおく操作は環の準同型なので、斉次式の差 G−FG-F や積 GHGH は、チャートの式の差や積になる。このため、後の例で斉次式に命題4の(2)(3)を使ってよい。

  2. 値は ii の選び方によらない。p∈U0∩U1p\in U_0\cap U_1 とすると、どちらのチャートの局所環も、A/BA/B(A,BA,B は同じ次数の斉次式で B(p)≠0B(p)\neq0)の形の有理関数全体という同じ環になる。この環の中で F/x1d=(x0/x1)d⋅F/x0dF/x_1^d=(x_0/x_1)^d\cdot F/x_0^d であり、x0/x1x_0/x_1 は pp で0でないので単元である。GG も同じなので、2つのチャートでイデアル (f,g)(f,g) は一致する。

    U0U_0 の座標 x=x1/x0, y=x2/x0x=x_1/x_0,\ y=x_2/x_0 で u/su/s(s(p)≠0s(p)\neq0)と書ける元は、分子と分母に x0Nx_0^N(N≥deg⁡u, deg⁡sN\geq\deg u,\ \deg s)を掛けると A/BA/B の形になる。逆に A/BA/B は、分子と分母を x0deg⁡Bx_0^{\deg B} で割ると x,yx,y の多項式の比になり、分母は pp で0でない。U1U_1 でも同じである。U0U_0 では f=F/x0df=F/x_0^d、U1U_1 では f=F/x1df=F/x_1^d を、それぞれの座標で書いたものである。

定理10 直線と曲線のベズーの定理 [1, 演習5.4(c), p.50]

kk を代数閉体、FF を次数 d≥1d\geq1 の斉次多項式、ℓ\ell を1次の斉次式とし、ℓ\ell は FF を割り切らないとする。直線 L=V+(ℓ)L=V_+(\ell) について

∑p∈L∩V+(F)Ip(F,ℓ)=d\sum_{p\in L\cap V_+(F)}I_p(F,\ell)=d∑p∈L∩V+(F)Ip(F,ℓ)=d\begin{aligned}\sum_{p\in L\cap V_+(F)}I_p(F,\ell) &= d\end{aligned}
証明
  1. LL の異なる2点の代表 P,Q∈k3P,Q\in k^3 をとると、LL の点は [sP+tQ][sP+tQ]([s:t]∈P1[s:t]\in\mathbb{P}^1)と一通りに書ける。φ(s,t)=F(sP+tQ)\varphi(s,t)=F(sP+tQ) は s,ts,t の dd 次斉次式で、0ではない。

    φ=0\varphi=0 なら FF は LL の全体で0になる。座標を取り替えて ℓ=x2\ell=x_2 とすると、F(x0,x1,0)F(x_0,x_1,0) が k2k^2 のすべての点で0になる。kk は無限体なので F(x0,x1,0)F(x_0,x_1,0) は多項式として0で、x2∣Fx_2\mid F となり仮定に反する。

  2. kk は代数閉体なので、φ=c∏i(βis−αit)ei\varphi=c\prod_i(\beta_is-\alpha_it)^{e_i}([αi:βi][\alpha_i:\beta_i] は相異なる)と分解し、∑iei=d\sum_ie_i=d。L∩V+(F)L\cap V_+(F) の点は Ri=[αiP+βiQ]R_i=[\alpha_iP+\beta_iQ] である。

    2変数の斉次式の分解は、第6回の定義14のあとで使ったものと同じである。φ(s,1)\varphi(s,1) を1次式の積に分け、次数の足りない分を tt の因子とすればよい(φ(s,t)=tdφ(s/t, 1)\varphi(s,t)=t^d\varphi(s/t,\ 1) である)。

  3. IRi(F,ℓ)=eiI_{R_i}(F,\ell)=e_i を示す。R=RiR=R_i とし、RR の座標で0でないもの xjx_j を選んで Rj=1R_j=1 とする。LL と直線 xj=0x_j=0 の交点 Q′Q' をとると、Q′≠RQ'\neq R で、P,QP,Q の代わりに R,Q′R,Q' を使っても根の重複度は変わらない。

    LL と V+(xj)V_+(x_j) は異なる2直線なので、ちょうど1点で交わる(第5回の命題5)。Rj=1≠0R_j=1\neq0 なので、その点 Q′Q' は RR と異なる。

    LL の代表の取り替え (P,Q)→(R,Q′)(P,Q)\to(R,Q') は、(s,t)(s,t) の正則な1次変換で、1次の因子を1次の因子に移す。よって各点に対応する根の重複度は変わらない。

  4. 新しい代表で RR は [s:t]=[1:0][s:t]=[1:0] にあたり、その根の重複度は ord⁡t=0F(R+tQ′)\operatorname{ord}_{t=0}F(R+tQ') である。R+tQ′R+tQ' の xjx_j 座標はいつも1なので、これは UjU_j の直線 LL を点 RR から方向 Q′Q' にたどった式で、命題6からこれが IR(F,ℓ)I_R(F,\ell) に等しい。

第5回の例を、この定理で数え直します。

例11 直線との交点を数える

(1) 放物線の閉包 F=x0x2−x12F=x_0x_2-x_1^2 と縦の直線 x1=cx0x_1=cx_0:P=(1,c,0)P=(1,c,0)、Q=(0,0,1)Q=(0,0,1) とすると

F(sP+tQ)=st−c2s2=s (t−c2s)F(sP+tQ)=st-c^2s^2=s\,(t-c^2s)F(sP+tQ)=st−c2s2=s (t−c2s)\begin{aligned}F(sP+tQ) &= st-c^2s^2\\&= s\,(t-c^2s)\end{aligned}

根は [s:t]=[1:c2][s:t]=[1:c^2] と [0:1][0:1] で、交点 [1:c:c2][1:c:c^2] と [0:0:1][0:0:1] で I=1I=1 ずつ、合計2(第5回の例13)。

(2) 同じ放物線と無限遠直線 x0=0x_0=0:P=(0,1,0)P=(0,1,0)、Q=(0,0,1)Q=(0,0,1) とすると F(sP+tQ)=−s2F(sP+tQ)=-s^2 で、[0:0:1][0:0:1] で I=2I=2。

(3) y=x3y=x^3 の閉包 x02x2−x13x_0^2x_2-x_1^3 と無限遠直線:F(sP+tQ)=−s3F(sP+tQ)=-s^3 で、[0:0:1][0:0:1] で I=3I=3。

(4) 3次曲線 y2=x3−xy^2=x^3-x の閉包 F=x0x22−x13+x02x1F=x_0x_2^2-x_1^3+x_0^2x_1 と、縦の直線 x1=cx0x_1=cx_0:P=(1,c,0)P=(1,c,0)、Q=(0,0,1)Q=(0,0,1) とすると

F(sP+tQ)=s (t2−(c3−c) s2)F(sP+tQ)=s\,\bigl(t^2-(c^3-c)\,s^2\bigr)F(sP+tQ)=s (t2−(c3−c) s2)\begin{aligned}F(sP+tQ) &= s\,\bigl(t^2-(c^3-c)\,s^2\bigr)\end{aligned}

c3≠cc^3\neq c なら、平面の2点 (c,±c3−c)(c,\pm\sqrt{c^3-c}) と無限遠点 [0:0:1][0:0:1] で I=1I=1 ずつ、合計3。例えば c=2c=2 なら (2,±6)(2,\pm\sqrt6) と [0:0:1][0:0:1]。同じ曲線と無限遠直線は、F(0,s,t)=−s3F(0,s,t)=-s^3 から [0:0:1][0:0:1] で I=3I=3。

(2) は、第5回で「放物線は無限遠直線に接している」と述べたことの、交点重複度による言い換えです。(3) の3は、y=x3y=x^3 の閉包が無限遠点で尖っていて、その接錐が無限遠直線だったことに対応します(第5回の例11)。

(4) の点 [0:0:1][0:0:1] は、第12回で楕円曲線の足し算の原点 OO になる点です。縦の直線はどれも OO を通り、無限遠直線は OO で3重に交わります(OO は変曲点です)。直線と3次曲線の交点がいつも3個あることが、足し算を作る出発点になります。

(1)(2) を立体で見ます。第5回と同じく、P2\mathbb{P}^2 の点を k3k^3 の原点を通る直線、曲線を原点を通る錐として R3\mathbb{R}^3 に描きます。

ドラッグで回せます

青い面は錐 x0x2=x12x_0x_2=x_1^2 で、放物線 y=x2y=x^2 の射影閉包を、原点を通る直線の集まりとして描いたものです(縦の軸が x0x_0)。縦の直線 x=0.6x=0.6 の射影閉包は、原点を通る平面 x1=0.6x0x_1=0.6x_0(緑)です。平面と錐は2本の直線(オレンジ)で交わります。1本はスクリーン x0=1x_0=1 を点 (0.6, 0.36)(0.6,\,0.36) で貫き、もう1本は床 x0=0x_0=0 に寝た x2x_2 軸で、無限遠点 [0:0:1][0:0:1] です。

「真上」から見ると、スクリーンの図(放物線と縦の線、交点は1つ)に重なります。回すと、2本目の交線が床に寝ていることが分かります。

接線 y=1.2x−0.36y=1.2x-0.36 の平面は、錐に1本の直線で接しています。この平面の上では x0x2−x12=−(x1−0.6x0)2x_0x_2-x_1^2=-(x_1-0.6x_0)^2 なので、交線は2本が重なった1本です。点 (0.6, 0.36)(0.6,\,0.36) での交点重複度は2です。

交わる直線 y=0.5x+0.5y=0.5x+0.5 の平面は、錐と2本の直線で交わり、どちらもスクリーンを貫きます。貫いた点 (1,1)(1,1) と (−0.5, 0.25)(-0.5,\,0.25) が平面の上の2つの交点で、無限遠の交点はありません。

床 x0=0x_0=0(無限遠直線)は、錐に x2x_2 軸に沿って接しています。床の上では x0x2−x12=−x12x_0x_2-x_1^2=-x_1^2 なので、放物線と無限遠直線は [0:0:1][0:0:1] で重複度2で交わります。「真横」から見ると、錐の影が床の線に接していることが分かります。

図3具体例放物線の閉包 x0x2=x12x_0x_2=x_1^2 の錐(青)を、4本の直線の平面(緑・紫)で切った図です。縦の軸が x0x_0 で、高さ1の灰色の面がスクリーン U0U_0 です。平面と錐の交わりは原点を通る直線で、それが P2\mathbb{P}^2 の交点です。縦の直線 x=0.6x=0.6 では、交線の1本が床 x0=0x_0=0 に寝ていて、無限遠点 [0:0:1][0:0:1] になります。「真上」から見ると平面に描いた図(交点は1つ)に重なり、回すと2本目の交線が見えます。接線や無限遠直線では、平面が錐に1本の直線で接し、交点重複度2の点になります。平面の式と錐の式を交線の点が両方みたすこと、接する平面の上で錐の式が平方になることを、図を作るプログラムで確かめています。

ベズーの定理

一般の2つの曲線について、ハーツホーンの形で定理を述べます。

定理12 ベズーの定理 [1, 系7.8, p.74; 1, 注意7.8.1, 7.8.2, p.74; 2, §5.3, p.57]

kk を代数閉体とし、F,GF,G を共通の因子をもたない、次数 d,ed,e の斉次多項式とする。V+(F)∩V+(G)V_+(F)\cap V_+(G) は有限集合で、

∑p∈V+(F)∩V+(G)Ip(F,G)=de\sum_{p\in V_+(F)\cap V_+(G)}I_p(F,G)=de∑p∈V+(F)∩V+(G)Ip(F,G)=de\begin{aligned}\sum_{p\in V_+(F)\cap V_+(G)}I_p(F,G) &= de\end{aligned}

ハーツホーンの系7.8 は、相異なる既約な曲線について、斉次座標環を使って定義した交点重複度で述べています。注意7.8.1 には、平面曲線ではこれが演習5.4 の局所的な定義(この記事の定義)と一致すること、注意7.8.2 には、共通の既約成分をもたない可約な曲線にも同じ証明が使えることが書かれています。

証明の流れは、下の「専門的な話」で紹介します。ここでは例で確かめます。

例13 交点の合計

(1) 放物線 y=x2y=x^2 と y=−x2y=-x^2(2⋅2=42\cdot2=4):原点で2(例7(4))。無限遠では、閉包 x0x2=±x12x_0x_2=\pm x_1^2 を U2U_2(座標 a=x0/x2, b=x1/x2a=x_0/x_2,\ b=x_1/x_2)で見ると a=b2a=b^2 と a=−b2a=-b^2 で、[0:0:1][0:0:1] で同じ計算から2。合計4。

(2) 2つの円 x2+y2=1x^2+y^2=1、(x−1)2+y2=1(x-1)^2+y^2=1(2⋅2=42\cdot2=4):閉包は F=x12+x22−x02F=x_1^2+x_2^2-x_0^2、G=x12+x22−2x0x1G=x_1^2+x_2^2-2x_0x_1 で、F−G=x0(2x1−x0)F-G=x_0(2x_1-x_0)。命題4(2)(3) より

Ip(F,G)=Ip(F, x0)+Ip(F, 2x1−x0)I_p(F,G)=I_p(F,\ x_0)+I_p(F,\ 2x_1-x_0)Ip(F,G)=Ip(F, x0)+Ip(F, 2x1−x0)\begin{aligned}I_p(F,G) &= I_p(F,\ x_0)+I_p(F,\ 2x_1-x_0)\end{aligned}Ip(F,G)=Ip(F, x0)=+Ip(F, 2x1−x0)\begin{aligned}I_p(F,G) &= I_p(F,\ x_0)\\&\phantom{=}{} +I_p(F,\ 2x_1-x_0)\end{aligned}

第1項は円と無限遠直線で、2点 [0:1:±i][0:1:\pm i] で1ずつ。第2項は円と直線 x=12x=\tfrac12 で、2点 (12,±32)(\tfrac12,\pm\tfrac{\sqrt3}2) で1ずつ。合計4。

(3) x3−xx^3-x と y3−yy^3-y(3⋅3=93\cdot3=9):縦の3本の直線と横の3本の直線で、平面の9点 (a,b)(a,b)(a,b∈{0,±1}a,b\in\{0,\pm1\})で1ずつ交わる。無限遠では x13=x23=0x_1^3=x_2^3=0 となり交点はない。k[x,y]/(x3−x, y3−y)k[x,y]/(x^3-x,\ y^3-y) は xiyjx^iy^j(0≤i,j≤20\leq i,j\leq2)を基底とする9次元の空間である。

(4) 結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1) と尖点 y2=x3y^2=x^3(3⋅3=93\cdot3=9):平面の交点は原点だけで、接錐 y=±xy=\pm x と y=0y=0 は共通の直線をもたないので、I0=2⋅2=4I_0=2\cdot2=4。無限遠の交点は [0:0:1][0:0:1] だけで、U2U_2 では a−ab2−b3a-ab^2-b^3 と a−b3a-b^3 になり、

I=I(a−b3, −ab2)=I(a−b3, a)+2 I(a−b3, b)=3+2⋅1=5I=I(a-b^3,\ -ab^2)=I(a-b^3,\ a)+2\,I(a-b^3,\ b)=3+2\cdot1=5I=I(a−b3, −ab2)=I(a−b3, a)+2 I(a−b3, b)=3+2⋅1=5\begin{aligned}I &= I(a-b^3,\ -ab^2)\\&= I(a-b^3,\ a)+2\,I(a-b^3,\ b)\\&= 3+2\cdot1\\&= 5\end{aligned}I=I(a−b3, −ab2)=I(a−b3, a)=+2 I(a−b3, b)=3+2⋅1=5\begin{aligned}I &= I(a-b^3,\ -ab^2)\\&= I(a-b^3,\ a)\\&\phantom{=}{} +2\,I(a-b^3,\ b)\\&= 3+2\cdot1\\&= 5\end{aligned}

合計 4+5=94+5=9。

証明
  1. (1) (a−b2, a+b2)=(a, b2)(a-b^2,\ a+b^2)=(a,\ b^2) で、例7(4) と同じ形である。
  2. (2) 第1項:F(0,x1,x2)=x12+x22=(x2−ix1)(x2+ix1)F(0,x_1,x_2)=x_1^2+x_2^2=(x_2-ix_1)(x_2+ix_1) で、定理10の証明の分解が単根2つになる。第2項:x0≠0x_0\neq0 の点だけが関わり、U0U_0 で命題6を使う。[0:1:±i][0:1:\pm i] では 2x1−x0=2≠02x_1-x_0=2\neq0、平面の2点では x0≠0x_0\neq0 なので、各点で片方の項は0である。
  3. (3) 命題3で、x3−xx^3-x と y3−yy^3-y を使って割ると、どの多項式も xx について2次以下、yy について2次以下の式に直せる。9点あるので各点で1、和が9。
  4. (4) 原点は命題4(4)。無限遠では、2つの式の差が −ab2-ab^2 で、(2)(3) と命題6を使う。直線 a=0a=0 に a−b3a-b^3 を制限すると −b3-b^3 で3、直線 b=0b=0 に制限すると aa で1。

    無限遠点を求める:x0=0x_0=0 とおくと、結節点の閉包 x0x22−x0x12−x13x_0x_2^2-x_0x_1^2-x_1^3 も尖点の閉包 x0x22−x13x_0x_2^2-x_1^3 も −x13-x_1^3 になり、x1=0x_1=0、つまり [0:0:1][0:0:1] だけである。平面の交点は、y2y^2 を消去して x2(x+1)=x3x^2(x+1)=x^3、つまり x2=0x^2=0 から原点だけである。

(2) の [0:1:±i][0:1:\pm i] は円点と呼ばれます。どんな円 (x−a)2+(y−b)2=r2(x-a)^2+(y-b)^2=r^2 も、閉包の最高次の部分は x12+x22x_1^2+x_2^2 なので、2つの円点を通ります。異なる2つの円の交点を重複度こみで4個と数えると、少なくとも2個はいつも円点にあります。平面の交点が重複度こみで多くても2個なのはこのためです(同心円では、4個すべてが円点に集まります)。

(4) は、交点が1点に集まっても合計が保たれる例です。平面の中では、2つの曲線は原点の1点でしか交わりません。重複度を数えると4、無限遠の5と合わせて9になります。

(12,32)(\tfrac12,\tfrac{\sqrt3}2)
(12,−32)(\tfrac12,-\tfrac{\sqrt3}2)
x=12x=\tfrac12
平面の交点:2つ(オレンジ)
F−G=x0(2x1−x0)F-G=x_0(2x_1-x_0)
無限遠の交点:2つ
[0:1:i], [0:1:−i][0:1:i],\ [0:1:-i]
(実数の図には現れない)
合計 2+2=4=2⋅22+2=4=2\cdot2
図4具体例2つの円 x2+y2=1x^2+y^2=1(青)と (x−1)2+y2=1(x-1)^2+y^2=1(緑)。式の差 2x−12x-1 から、平面の交点は破線の直線 x=12x=\tfrac12 の上の2点です(オレンジ)。残りの2つの交点は無限遠の円点 [0:1:±i][0:1:\pm i] で、座標に ii を含むので実数の図には現れません。平面の2個と無限遠の2個で、2⋅2=42\cdot2=4 個になります。
専門的な話ベズーの定理の証明の流れ

Fulton の証明[2, §5.3, p.57–58]の流れを紹介します。S=k[x0,x1,x2]S=k[x_0,x_1,x_2]、Γ=S/(F,G)\Gamma=S/(F,G) とし、Γn\Gamma_n を Γ\Gamma の nn 次の部分とします。

まず、座標を射影変換で取り替えて、交点がどれも無限遠直線 x0=0x_0=0 に乗らないようにします。交点は有限個で、kk は無限体なので、交点を通らない直線があるからです。すると交点はすべて U0U_0 にあり、命題3から交点重複度の和は dim⁡kk[x,y]/(f,g)\dim_k k[x,y]/(f,g) になります(f,gf,g は x0=1x_0=1 とおいた式)。

次に、Γn\Gamma_n の次元を数えます。F,GF,G が共通の因子をもたないことから、次の列が完全になります。左の写像は C↦(GC, −FC)C\mapsto(GC,\ -FC)、次は (A,B)↦AF+BG(A,B)\mapsto AF+BG です。

0⟶Sn−d−e⟶Sn−d⊕Sn−e⟶Sn⟶Γn⟶00\longrightarrow S_{n-d-e}\longrightarrow S_{n-d}\oplus S_{n-e}\longrightarrow S_n\longrightarrow\Gamma_n\longrightarrow00⟶Sn−d−e⟶Sn−d⊕Sn−e⟶Sn⟶Γn⟶0\begin{aligned}0 &\longrightarrow S_{n-d-e}\\&\longrightarrow S_{n-d}\oplus S_{n-e}\\&\longrightarrow S_n\\&\longrightarrow \Gamma_n\\&\longrightarrow 0\end{aligned}

dim⁡Sm=(m+1)(m+2)2\dim S_m=\tfrac{(m+1)(m+2)}2(m≥0m\geq0)を入れて計算すると、n≥d+en\geq d+e で

dim⁡Γn=(n+22)−(n−d+22)−(n−e+22)+(n−d−e+22)=de\dim\Gamma_n=\binom{n+2}{2}-\binom{n-d+2}{2}-\binom{n-e+2}{2}+\binom{n-d-e+2}{2}=dedim⁡Γn=(n+22)−(n−d+22)−(n−e+22)+(n−d−e+22)=de\begin{aligned}\dim\Gamma_n &= \binom{n+2}{2}-\binom{n-d+2}{2}-\binom{n-e+2}{2}+\binom{n-d-e+2}{2}\\&= de\end{aligned}dim⁡Γn=(n+22)−(n−d+22)=−(n−e+22)+(n−d−e+22)=de\begin{aligned}\dim\Gamma_n &= \binom{n+2}{2}-\binom{n-d+2}{2}\\&\phantom{=}{} -\binom{n-e+2}{2}+\binom{n-d-e+2}{2}\\&= de\end{aligned}dim⁡Γn=(n+22)=−(n−d+22)=−(n−e+22)=+(n−d−e+22)=de\begin{aligned}\dim\Gamma_n &= \binom{n+2}{2}\\&\phantom{=}{} -\binom{n-d+2}{2}\\&\phantom{=}{} -\binom{n-e+2}{2}\\&\phantom{=}{} +\binom{n-d-e+2}{2}\\&= de\end{aligned}

最後に、x0x_0 を掛ける写像 Γn→Γn+1\Gamma_n\to\Gamma_{n+1} が単射であること(交点が x0=0x_0=0 に乗らないことを使います)から、n≥d+en\geq d+e では x0=1x_0=1 とおく写像が同型 Γn≅k[x,y]/(f,g)\Gamma_n\cong k[x,y]/(f,g) を与えます。2つの次元を合わせて、和が dede になります。

ハーツホーンの定理7.7 の証明[1, 定理7.7, p.72–74]も、同じ次元の数え上げを、ヒルベルト多項式(nn が大きいときの dim⁡Γn\dim\Gamma_n を表す多項式)の最高次の係数の比較として行っています。系7.8 は、それを曲線どうしに当てはめたものです。

実数だけでは交点が足りない

ベズーの定理は、射影平面で数えることと、代数閉体の上で数えることの両方を使っています。どちらかを欠くと、数が合いません。

例14 円と直線 x=2x=2

(1) k=Rk=\mathbb{R} では、円 x2+y2=1x^2+y^2=1 と直線 x=2x=2 は交わらない。4+y2=14+y^2=1 をみたす実数 yy がないからである。
(2) k=Ck=\mathbb{C} では、y2=−3y^2=-3 から2点 (2,±i3)(2,\pm i\sqrt3) で交わり、命題6の f(2,t)=t2+3f(2,t)=t^2+3 の単根なので、どちらも I=1I=1。無限遠では x1=2x0x_1=2x_0 と x0=0x_0=0 から x1=0x_1=0、円の式から x2=0x_2=0 となり、交点はない。合計2。
(3) R\mathbb{R} の上の環で見ると、R[x,y]/(x−2, x2+y2−1)≅R[y]/(y2+3)≅C\mathbb{R}[x,y]/(x-2,\ x^2+y^2-1)\cong\mathbb{R}[y]/(y^2+3)\cong\mathbb{C} で、R\mathbb{R} 上2次元である。

(3) の環は体 C\mathbb{C} なので、Spec⁡\operatorname{Spec} は剰余体が C\mathbb{C} の1点です。第8回の表の「剰余体が2次の1点」と同じ形で、重さ1と剰余体の次数2を掛けると、やはり2になります(第8回の例12)。

実数の点だけを描いた図では、交点が見えないことがあります。図4の円点も、放物線 y=x2y=x^2 と直線 y=cy=c(c<0c<0)の交点 x=±i∣c∣x=\pm i\sqrt{|c|} も、実数の図には現れません。

もう少し詳しく標数 pp の曲線 y=xpy=x^p と水平な直線

kk を標数 pp の代数閉体とします。第6回で、曲線 y=xpy=x^p はどの点でも接線が水平になることを見ました。交点重複度で言うと、水平な直線 y=apy=a^p は点 (a,ap)(a,a^p) で pp 重に交わります。

f(a+t, ap)=ap−(a+t)p=−tpI(a,ap)(y−xp, y−ap)=pf(a+t,\ a^p)=a^p-(a+t)^p=-t^p\qquad I_{(a,a^p)}(y-x^p,\ y-a^p)=pf(a+t, ap)=ap−(a+t)p=−tpI(a,ap)(y−xp, y−ap)=p\begin{gathered}f(a+t,\ a^p)=a^p-(a+t)^p=-t^p\\I_{(a,a^p)}(y-x^p,\ y-a^p)=p\end{gathered}f(a+t, ap)=ap−(a+t)p=−tpI(a,ap)(y−xp, y−ap)=p\begin{aligned}f(a+t,\ a^p) &= a^p-(a+t)^p\\&= -t^p\\[4pt]I_{(a,a^p)}(y-x^p,\ y-a^p) &= p\end{aligned}

直線 y=apy=a^p と曲線 y=xpy=x^p の交点はこの1点だけなので、合計 pp は次数の積 1⋅p1\cdot p に合っています。標数0で a≠0a\neq0 なら、xp−apx^p-a^p は相異なる pp 個の根をもち、pp 個の点で1ずつ交わります(a=0a=0 なら、どの標数でも原点で pp 重に交わります)。点の個数は変わっても、合計は変わりません。

まとめ:交点重複度の表

2つの曲線点IpI_pOp/(f,g)\mathcal{O}_p/(f,g) の基底理由
y=x2y=x^2 と y=1y=1(±1,1)(\pm1,1)1111横に交わる
y=x2y=x^2 と y=0y=0原点221, x1,\ x接線
y=x3y=x^3 と y=0y=0原点331, x, x21,\ x,\ x^2変曲点の接線
結節点と y=12xy=\tfrac12x原点221, x1,\ xμ0=2\mu_0=2、接錐の外
結節点と y=xy=x原点331, x, x21,\ x,\ x^2接錐の直線
尖点と y=0y=0原点331, x, x21,\ x,\ x^2接錐の直線
結節点と尖点原点441, x, y, xy1,\ x,\ y,\ xy2⋅22\cdot2、共通の接線なし
放物線と無限遠直線[0:0:1][0:0:1]221, b1,\ b無限遠直線が接線

交点重複度は、局所環を2つの式で割った環の次元です。直線との交わりなら、直線に制限した多項式の根の重複度になります。接点・変曲点・特異点では、近づいてきた交点の個数を覚えています。

射影平面で、代数閉体の上で、重複度こみで数えると、交点の合計は次数の積になります。直線と曲線の場合は2変数の斉次式の分解から証明でき、一般の場合がベズーの定理です。

次回:曲線の上の関数の零点と極

この記事では、2つの曲線の交点に重複度を付けて数えました。片方の曲線 CC の上だけで見ると、もう片方の式 gg は CC の上の関数で、交点はその関数の零点です。交点重複度は「gg が CC のその点で何位の零点か」と読めます。

例えば放物線 y=x2y=x^2 の上の関数 yy は、原点で2位の零点をもちます。CC の上の有理関数 g/hg/h なら、hh の零点が極になります。

次回は、非特異な曲線の点ごとに関数の零点と極の位数を定め、それを点の形式的な和(因子)にまとめます。射影曲線の上の有理関数では、零点と極を重複度こみで数えると同じ数になります。この記事と同じく、重複度を付けて数えることで数がそろいます。

参考文献

  1. R. ハーツホーン(高橋宣能・松下大介 訳), 『代数幾何学 1』, 丸善出版, 2013.
  2. W. Fulton, Algebraic Curves: An Introduction to Algebraic Geometry, 2008 年の改訂版(著者が無料で公開している版).
  3. M. F. アティヤ, I. G. マクドナルド(新妻弘 訳), 『可換代数入門』, 共立出版, 2006.
  4. 後藤四郎, 渡辺敬一, 『可換環論』, 日本評論社, 2011.