数学ビジュアライズ

代数幾何図で読む代数幾何第16回

穴の数を方程式から読む:曲線の種数

種数を、正則な微分形式の数・標準因子の次数・複素数の点の穴の数の3通りに見ます。非特異な平面曲線の種数 (d−1)(d−2)/2 を導き、特異点で種数が減ることと、分岐から種数を数えるリーマン・フルヴィッツの公式を、例と回せる立体図で確かめます。

目次
  1. 前回の宿題
  2. 種数の3つの見方
  3. 平面曲線の種数
  4. 特異点で種数が減る
  5. 分岐から種数を数える:リーマン・フルヴィッツの公式
  6. まとめ:種数の求め方
  7. 第1回から第16回までを振り返る
  8. 参考文献
この記事の要点
種数
非特異な射影曲線の種数 gg は、正則な微分形式の空間の次元 ℓ(K)\ell(K) です。標準因子の次数は 2g−22g-2 で、複素数の点がなす曲面では穴の数になります。
平面曲線
非特異な dd 次の平面曲線の種数は (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 です。d=1,2,3,4,5d=1,2,3,4,5 で 0,0,1,3,60,0,1,3,6 になり、種数2の曲線は現れません。
特異点で減る
特異点があると、種数は特異点ごとに δP\delta_P だけ減ります。結節点と尖点では δP=1\delta_P=1、タクノードでは 22 です。特異点をもつ既約な3次曲線は幾何種数0で、P1\mathbb{P}^1 で媒介変数表示できます。
リーマン・フルヴィッツ
nn 次の射 X→YX\to Y では 2gX−2=n(2gY−2)+∑(eP−1)2g_X-2=n(2g_Y-2)+\sum(e_P-1) です。y2=x3−xy^2=x^3-x の xx 座標では 0=2⋅(−2)+40=2\cdot(-2)+4 となり、重根のない ff なら y2=f(x)y^2=f(x) の種数は ff の次数で決まります。
  • 証明は、ステップの流れだけを短く書いています。「詳しく」の付いた行をクリックすると、そのステップの詳しい説明が開きます。説明の中にも開ける行があります。
  • 定義・命題・定理には、記事全体で通し番号を振っています。
  • もう少し詳しくは補足、専門的な話は先の回につながる話題です。どちらも開かずに読み進められます。
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前回の宿題

第15回では、曲線 XX の上の因子 DD について、関数の空間 L(D)L(D) の次元 ℓ(D)\ell(D) を数えるリーマン・ロッホの定理を見ました。

ℓ(D)−ℓ(K−D)=deg⁡D+1−gg=ℓ(K)\ell(D)-\ell(K-D)=\deg D+1-g\qquad g=\ell(K)ℓ(D)−ℓ(K−D)=deg⁡D+1−gg=ℓ(K)\begin{gathered}\ell(D)-\ell(K-D)=\deg D+1-g\\g=\ell(K)\end{gathered}ℓ(D)−ℓ(K−D)=deg⁡D+1−gg=ℓ(K)\begin{aligned}\ell(D)-\ell(K-D) &= \deg D+1-g\\[4pt]g &= \ell(K)\end{aligned}

ここで KK は標準因子、gg は種数です。P1\mathbb{P}^1 では g=0g=0、楕円曲線では g=1g=1 でした。

第15回の最後に、種数を方程式から読むと予告しました。平面の dd 次曲線の種数は (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 で、複素数の点で見ると穴の数になる、という話です。

この記事では、まず種数の3つの見方(ℓ(K)\ell(K)、deg⁡K\deg K、穴の数)を並べます。次に、平面曲線の種数の公式を導き、特異点があると種数が減ることを例で確かめます。最後に、射の分岐から種数を数えるリーマン・フルヴィッツの公式を使い、y2=f(x)y^2=f(x) の形の曲線の種数を求めます。

種数の3つの見方

この記事では kk を代数閉体とします。ハーツホーンの第 IV 章にならい、曲線と言えば kk 上の完備な非特異曲線、つまり非特異な射影曲線を指し、点は閉点を指します[1, §IV.1, p.2]。

特異点をもつ曲線や平面の中の曲線は、そのつど断ります。標数も、例ごとに断ります。

正則な微分形式と標準因子は第13回で扱いました。曲線 XX の0でない有理微分形式 ω\omega の因子 div⁡(ω)\operatorname{div}(\omega) の線形同値類が KK で、正則な微分形式の空間は、ω\omega を1つ決めると h↦h ωh\mapsto h\,\omega で L(K)L(K) と同型になります。

定義1 種数 [1, 命題1.1, p.2]

XX を曲線とする。XX の上の正則な微分形式の空間 Γ(X,ΩX)\Gamma(X,\Omega_X) は kk 上有限次元である。その次元

g(X)=dim⁡kΓ(X,ΩX)=ℓ(K)g(X)=\dim_k\Gamma(X,\Omega_X)=\ell(K)g(X)=dim⁡kΓ(X,ΩX)=ℓ(K)\begin{aligned}g(X) &= \dim_k\Gamma(X,\Omega_X)\\&= \ell(K)\end{aligned}

を XX の種数と呼ぶ。

ハーツホーンは、この数が dim⁡kH1(X,OX)\dim_kH^1(X,\mathcal{O}_X)(第14回のコホモロジー)とも、ヒルベルト多項式で定める算術種数とも一致することを示し、それをまとめて種数と呼んでいます。算術種数の話は、記事の後半の補足で触れます。

命題2 [1, 例1.3.3, p.6]

種数 gg の曲線 XX の標準因子の次数は deg⁡K=2g−2\deg K=2g-2 である。

証明
  1. リーマン・ロッホの定理で D=KD=K とおくと、ℓ(K)−ℓ(0)=deg⁡K+1−g\ell(K)-\ell(0)=\deg K+1-g。
  2. ℓ(K)=g\ell(K)=g、ℓ(0)=1\ell(0)=1 を代入すると g−1=deg⁡K+1−gg-1=\deg K+1-g で、deg⁡K=2g−2\deg K=2g-2。

    L(0)L(0) は XX 全体で正則な関数の空間で、射影的な多様体の上では定数だけなので ℓ(0)=1\ell(0)=1 である[2, 定理3.4(a), p.24]。

逆に deg⁡K\deg K が分かれば、g=(deg⁡K)/2+1g=(\deg K)/2+1 で種数が決まります。この記事で種数を計算するときは、ほとんどこの形を使います。

例3 P1\mathbb{P}^1 と楕円曲線

(1) X=P1X=\mathbb{P}^1。座標を tt、無限遠点のまわりの座標を s=1/ts=1/t とする。dtdt は tt が有限の点では零点も極ももたず、無限遠点では

dt=d(1s)=−1s2 dsdt=d\Bigl(\frac1s\Bigr)=-\frac{1}{s^2}\,dsdt=d(1s)=−1s2 ds\begin{aligned}dt &= d\Bigl(\frac1s\Bigr)\\&= -\frac{1}{s^2}\,ds\end{aligned}

なので2位の極をもつ(第13回の定理11)。よって K=−2⋅∞K=-2\cdot\infty、deg⁡K=−2\deg K=-2 で、g=−2/2+1=0g=-2/2+1=0 である。

(2) kk の標数は2でも3でもないとし、XX を楕円曲線 y2=x3−xy^2=x^3-x とする。微分形式 dx/2ydx/2y は零点も極ももたない(第13回の定理13)。よって K=0K=0、deg⁡K=0\deg K=0 で、g=0/2+1=1g=0/2+1=1 である。

(1) で deg⁡K<0\deg K<0 なので、P1\mathbb{P}^1 には0でない正則な微分形式がありません。ℓ(K)=0\ell(K)=0 で、定義どおり g=0g=0 です。(2) では ℓ(K)=ℓ(0)=1\ell(K)=\ell(0)=1 で、正則な微分形式は dx/2ydx/2y の定数倍だけです。

3つ目の見方は位相です。k=Ck=\mathbb{C} のとき、曲線の複素数の点は複素1次元、実2次元の空間です。それがどんな曲面かは、種数だけで決まります。

定理4 複素数の点の形 [1, 付録B §5, p.215]

XX を C\mathbb{C} 上の種数 gg の曲線とする。XX の複素数の点の全体 X(C)X(\mathbb{C}) はコンパクトなリーマン面で、位相空間としては、球面に gg 個の取っ手を付けた曲面(穴が gg 個の閉じた曲面)と同相である。

この定理の証明には複素解析が要るので、この記事では引用にとどめます。逆に、コンパクトなリーマン面はすべて射影的な代数曲線から来ることも知られています[1, 付録B 定理3.1, p.207]。

穴が gg 個の閉じた曲面のオイラー標数(頂点の数 − 辺の数 + 面の数)は 2−2g2-2g です。球面は 22、トーラスは 00、穴が2つの曲面は −2-2 です。これは deg⁡K=2g−2\deg K=2g-2 の符号を変えたものになっています。

χ(X(C))=2−2g=−deg⁡K\chi\bigl(X(\mathbb{C})\bigr)=2-2g=-\deg Kχ(X(C))=2−2g=−deg⁡K\begin{aligned}\chi\bigl(X(\mathbb{C})\bigr) &= 2-2g\\&= -\deg K\end{aligned}
ドラッグで回せます

種数0:球面です。射影直線 P1\mathbb{P}^1 と、平面の円錐曲線(例えば x0x2=x12x_0x_2=x_1^2)の複素数の点がこの形です。

種数1:トーラスです。「真上」から見ると穴の開いた円板に見えますが、回すと中が空洞の管だと分かります。楕円曲線 y2=x3−xy^2=x^3-x や、非特異な平面3次曲線の複素数の点がこの形です。

種数2:穴が2つの曲面です。y2=x5−xy^2=x^5-x や y2=x6−1y^2=x^6-1 の曲線がこの形です。2つのトーラスを少し重ねて描いた模式図で、外側の面だけが見えています。

種数3:穴が3つの曲面です。非特異な平面4次曲線(例えば x4+y4=z4x^4+y^4=z^4)がこの形です。3つのトーラスを重ねた模式図です。

図1概念図定理4の、種数0〜3の曲面です。段階のボタンで種数を切り替えます。「真上」から見ると穴の開いた平らな図形に見えますが、回すと中が空洞の閉じた曲面で、穴の数が種数だと分かります。位相の形を表した模式図で、曲線の複素数の点を空間に置いたものではありません。種数2と3は、トーラスを少しずつ重ねて描いています。

平面曲線の種数

射影平面 P2\mathbb{P}^2(斉次座標 [x0:x1:x2][x_0:x_1:x_2])の非特異な曲線 C=V+(F)C=V_+(F) を考えます。FF は dd 次の既約な斉次式で、U0U_0 の座標 x=x1/x0x=x_1/x_0、y=x2/x0y=x_2/x_0 では f(x,y)=F(1,x,y)f(x,y)=F(1,x,y) です。非特異の判定は第6回の命題17のとおり、3つの偏微分で行います。

CC の標準因子は、第13回の定理17とその後の補足で、次のように求めました。U0U_0 の上の微分形式

ω=dxfy=−dyfx\omega=\frac{dx}{f_y}=-\frac{dy}{f_x}ω=dxfy=−dyfx\begin{aligned}\omega &= \frac{dx}{f_y}\\&= -\frac{dy}{f_x}\end{aligned}

は、U0U_0 の中では零点も極ももちません(標数 pp では fyf_y が多項式として0になる座標もありますが、そのときは xx と yy を入れ替えます)。零点と極は無限遠直線 L∞=V+(x0)L_\infty=V_+(x_0) との交点にだけ現れ、その因子は、CC と L∞L_\infty の交わりの因子 HH(交点に交点重複度を付けたもの)の d−3d-3 倍です(d<3d<3 なら極)。

div⁡(ω)=(d−3) Hdeg⁡H=d\operatorname{div}(\omega)=(d-3)\,H\qquad \deg H=ddiv⁡(ω)=(d−3) Hdeg⁡H=d\begin{gathered}\operatorname{div}(\omega)=(d-3)\,H\\\deg H=d\end{gathered}div⁡(ω)=(d−3) Hdeg⁡H=d\begin{aligned}\operatorname{div}(\omega) &= (d-3)\,H\\[4pt]\deg H &= d\end{aligned}

deg⁡H=d\deg H=d は、第9回のベズーの定理(第5回の定理12)で、直線と dd 次曲線の交点を重複度こみで数えたものです。したがって deg⁡K=d(d−3)\deg K=d(d-3) です。

命題5 平面曲線の種数 [2, 演習7.2(b), p.74; 1, 例1.5.1, p.96–97]

kk を代数閉体(標数は任意)とし、C⊆P2C\subseteq\mathbb{P}^2 を非特異な dd 次曲線とする。CC の種数は

g=(d−1)(d−2)2g=\frac{(d-1)(d-2)}{2}g=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}g &= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}

である。

証明
  1. 第13回の結果から deg⁡K=d(d−3)\deg K=d(d-3)。

    上で述べたとおり、div⁡(dx/fy)=(d−3)H\operatorname{div}(dx/f_y)=(d-3)H で deg⁡H=d\deg H=d である。ここは第13回の計算をそのまま使う。

  2. 命題2から 2g−2=d(d−3)2g-2=d(d-3)。よって g=(d2−3d+2)/2=(d−1)(d−2)/2g=(d^2-3d+2)/2=(d-1)(d-2)/2。

ハーツホーンは、同じ公式を2通りに導いています。第 I 章ではヒルベルト多項式で定めた算術種数として、第 V 章では曲面の上の曲線の種数を求める随伴公式 2g−2=C⋅(C+K)2g-2=C\cdot(C+K) から求めています。

次数 dd123456
deg⁡K=d(d−3)\deg K=d(d-3)−2-2−2-2004410101818
種数 gg00001133661010
例直線円錐曲線楕円曲線x4+y4=1x^4+y^4=1x5+y5=1x^5+y^5=1x6+y6=1x^6+y^6=1

d=1,2d=1,2 では g=0g=0 です。直線は P1\mathbb{P}^1 そのもので、円錐曲線も P1\mathbb{P}^1 と同型でした(第5回の例19)。d=3d=3 の g=1g=1 は、非特異な平面3次曲線が楕円曲線であることと合っています。

種数は 0,0,1,3,6,10,…0,0,1,3,6,10,\dots と飛び飛びで、種数2の曲線は非特異な平面曲線として現れません。種数2の曲線は、特異点をもつ平面曲線か、記事の後半の y2=f(x)y^2=f(x) の形で表します。

種数を ℓ(K)\ell(K) として直接確かめることもできます。p(x,y)p(x,y) を d−3d-3 次以下の多項式とすると、p ωp\,\omega は正則な微分形式です。そのような pp の空間の次元は、ちょうど (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 です。

#{ xiyj∣i+j≤d−3 }=1+2+⋯+(d−2)=(d−1)(d−2)2\begin{aligned} &\#\{\,x^iy^j\mid i+j\leq d-3\,\}\\ &\quad=1+2+\cdots+(d-2)\\ &\quad=\frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}

例えば d=4d=4 なら ω, xω, yω\omega,\ x\omega,\ y\omega の3つで、g=3g=3 に合います。p ωp\,\omega が正則なのは、pp の無限遠での極が高々 (d−3)H(d-3)H で、ω\omega の零点 (d−3)H(d-3)H で打ち消されるからです。

0でない pp は dd 次の既約な ff で割り切れないので、CC の上で0になりません。よって xiyjωx^iy^j\omega(i+j≤d−3i+j\leq d-3)は1次独立で ℓ(K)≥(d−1)(d−2)/2\ell(K)\geq(d-1)(d-2)/2 です。命題と合わせると、正則な微分形式はこれで尽きています。

例6 フェルマー曲線

kk の標数は dd を割り切らないとし、C=V+(x1d+x2d−x0d)C=V_+(x_1^d+x_2^d-x_0^d)(U0U_0 では xd+yd=1x^d+y^d=1)とする。CC は非特異で、種数は (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 である。d=3,4,5d=3,4,5 では g=1,3,6g=1,3,6 になる。

証明
  1. F=x1d+x2d−x0dF=x_1^d+x_2^d-x_0^d の偏微分は −dx0d−1-dx_0^{d-1}、dx1d−1dx_1^{d-1}、dx2d−1dx_2^{d-1} である。標数が dd を割り切らないので d≠0d\neq0 で、3つがすべて0になるのは x0=x1=x2=0x_0=x_1=x_2=0 のときだけである。
  2. FF は既約である。

    F=GHF=GH(G,HG,H は次数1以上の斉次式)とする。GG と HH の既約因子 G1,H1G_1,H_1 をとると、V+(G1)V_+(G_1) と V+(H1)V_+(H_1) は共通の点 PP をもつ。2つが違う曲線ならベズーの定理(第5回の定理12)により、同じ曲線なら明らかである。

    PP では G=H=0G=H=0 なので、∂F/∂xi=G ∂H/∂xi+H ∂G/∂xi\partial F/\partial x_i=G\,\partial H/\partial x_i+H\,\partial G/\partial x_i はすべて0になり、前のステップに反する。

  3. よって第6回の命題17が使え、偏微分が同時に0になる点はないので CC は非特異である。
  4. 種数は命題5による。

標数が dd を割り切ると、話が変わります。標数 pp で d=pd=p なら xp+yp−1=(x+y−1)px^p+y^p-1=(x+y-1)^p なので、CC は直線を pp 重に数えたもので、すべての点が特異点です。

公式 (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 の形は、次のように見当を付けることもできます。証明ではなく、直観のための話です。

一般の位置にある dd 本の直線の和集合は、dd 次の平面曲線です。直線は P1\mathbb{P}^1 で、複素数の点では球面なので、dd 個の球面が (d2)\binom{d}{2} 個の交点でくっついた形です。

方程式を少し動かして非特異にすると、各交点が細い管に変わります。球面を頂点、管を辺とするグラフの「輪の数」が、できた曲面の穴の数です。

(d2)−d+1=d(d−1)2−d+1=(d−1)(d−2)2\binom{d}{2}-d+1=\frac{d(d-1)}{2}-d+1=\frac{(d-1)(d-2)}{2}(d2)−d+1=d(d−1)2−d+1=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}\binom{d}{2}-d+1 &= \frac{d(d-1)}{2}-d+1\\&= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}
d=3d=3:直線 3 本、交点 3 個
穴 3−3+1=13-3+1=1
d=4d=4:直線 4 本、交点 6 個
穴 6−4+1=36-4+1=3
交点ごとに管でつなぐ
図2概念図上は一般の位置にある3本と4本の直線、下は直線ごとの球面(丸)を交点ごとに管(灰色の帯)でつないだ図です。下の図の穴の数は、辺 − 頂点 + 1 で 3−3+1=13-3+1=1、6−4+1=36-4+1=3 になり、3次・4次曲線の種数と一致します。直線の位置には意味がなく、どの直線どうしが交わるかだけを描いています。

特異点で種数が減る

特異点のある平面曲線では、公式 (d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2 はそのままでは成り立ちません。結節点をもつ3次曲線 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1) を見ます。この曲線の点は (t2−1, t3−t)(t^2-1,\ t^3-t) と書けました(第1回の例16)。

この媒介変数表示は、t=±1t=\pm1 の2点を原点に重ねるだけで、ほかでは1対1です。つまり、この曲線は P1\mathbb{P}^1(穴なし)の2点を貼り合わせたものです。穴の数を数えるなら、貼り合わせる前の P1\mathbb{P}^1 の種数0を使うのが自然です。

そこで、特異点をもつ曲線には、関数体が同じ非特異な曲線を対応させます。

定義7 幾何種数 [2, 系6.12, p.62]

CC を kk 上の既約な射影曲線(特異点があってもよい)とする。関数体が CC と同じ非特異な射影曲線 C~\widetilde C が同型を除いてただ1つあり、双有理な射 C~→C\widetilde C\to C がある。C~\widetilde C の種数を CC の幾何種数と呼ぶ。

C~→C\widetilde C\to C を CC の正規化と呼びます。CC が非特異なら C~=C\widetilde C=C です。結節点の3次曲線では、t=y/xt=y/x が CC の関数で、関数体は k(t)k(t) なので、C~=P1\widetilde C=\mathbb{P}^1 です。

定理8 特異点による種数の減り方 [1, 演習1.8, p.8; 1, 例3.9.2–3.9.3, p.140–141; 1, 注意3.11.1, p.31]

C⊆P2C\subseteq\mathbb{P}^2 を dd 次の既約な曲線、C~→C\widetilde C\to C を正規化とする。CC の各特異点 PP に正の整数 δP\delta_P が決まり、

g(C~)=(d−1)(d−2)2−∑P∈Sing⁡CδPg(\widetilde C)=\frac{(d-1)(d-2)}{2}-\sum_{P\in\operatorname{Sing}C}\delta_Pg(C~)=(d−1)(d−2)2−∑P∈Sing⁡CδP\begin{aligned}g(\widetilde C) &= \frac{(d-1)(d-2)}{2}-\sum_{P\in\operatorname{Sing}C}\delta_P\end{aligned}g(C~)=(d−1)(d−2)2=−∑P∈Sing⁡CδP\begin{aligned}g(\widetilde C) &= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\\&\phantom{=}{} -\sum_{P\in\operatorname{Sing}C}\delta_P\end{aligned}

が成り立つ。δP\delta_P は、PP 自身と、ブローアップを繰り返したとき狭義変換に現れる PP の上の特異点(PP に無限に近い特異点)QQ のすべてにわたる和 δP=∑QrQ(rQ−1)/2\delta_P=\sum_Qr_Q(r_Q-1)/2 である。rQr_Q は QQ での重複度である。

和の取り方を、第7回の例で確かめます。重複度は第6回の定義14のもので、2重点では r=2r=2、r(r−1)/2=1r(r-1)/2=1 です。

  • 結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1)(標数 ≠2\neq2):重複度2で、1回のブローアップで枝が分かれ、狭義変換は非特異になります(第7回の例11)。δ=1\delta=1。
  • 尖点 y2=x3y^2=x^3:重複度2で、1回のブローアップで滑らかになります(第7回の例12)。δ=1\delta=1。
  • タクノード y2=x4y^2=x^4(標数 ≠2\neq2):1回目の狭義変換 m2=x2m^2=x^2 にまだ2重点が残り、2回目で分かれます(第7回の例13)。δ=1+1=2\delta=1+1=2。
  • rr 本の枝が違う向きで交わる通常 rr 重点:1回で分かれるので δ=r(r−1)/2\delta=r(r-1)/2。r=3r=3 なら 33。

証明はハーツホーンに任せます。第 V 章では、ブローアップで重複度 rr の点をほどくと算術種数が r(r−1)/2r(r-1)/2 減ることを、曲面の上の交点数で示しています[1, 系3.7, p.136]。

例9 特異点を1つもつ3次曲線は幾何種数0

次の3つはどれも、特異点が原点の1つだけの既約な3次曲線で、δ=1\delta=1 である。定理の右辺は 1−1=01-1=0 で、実際どれも P1\mathbb{P}^1 で媒介変数表示できる。

(1) 結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1)(標数 ≠2\neq2):t↦(t2−1, t3−t)t\mapsto(t^2-1,\ t^3-t)。
(2) 尖点 y2=x3y^2=x^3:t↦(t2, t3)t\mapsto(t^2,\ t^3)。
(3) デカルトの葉線 x3+y3=3xyx^3+y^3=3xy(標数 ≠3\neq3):t↦(3t/(1+t3), 3t2/(1+t3))t\mapsto\bigl(3t/(1+t^3),\ 3t^2/(1+t^3)\bigr)。

証明
  1. 媒介変数表示は、原点を通る直線 y=txy=tx と曲線のもう1つの交点として求まる。

    2重点を通る直線は、そこで曲線と2重以上に交わる。3次曲線と直線の交点は重複度こみで3個なので、残りはちょうど1点で、その座標は tt の有理式になる。

    (1) y=txy=tx を代入すると t2x2=x2(x+1)t^2x^2=x^2(x+1) で、x2x^2 で割って x=t2−1x=t^2-1、y=t3−ty=t^3-t。(3) は x3(1+t3)=3tx2x^3(1+t^3)=3tx^2 から x=3t/(1+t3)x=3t/(1+t^3)、y=3t2/(1+t3)y=3t^2/(1+t^3)。(2) は t2x2=x3t^2x^2=x^3 から x=t2x=t^2、y=t3y=t^3。

  2. x,yx,y は tt の有理式で、t=y/xt=y/x は曲線の関数なので、関数体は k(t)k(t) である。よって正規化は P1\mathbb{P}^1 で、幾何種数は0である。
  3. 特異点が原点だけであること:(1)(2) は第6回の例4、(3) は第6回の例5(2) で平面の中を調べた。無限遠点も非特異である。

    既約であること:(1)(2) は yy の2次式で、x2(x+1)x^2(x+1)、x3x^3 が k[x]k[x] の平方でないので既約である。(3) の既約性も第6回の例5で示した。

    (1) の射影閉包 x0x22=x12(x1+x0)x_0x_2^2=x_1^2(x_1+x_0) の無限遠点は x13=0x_1^3=0 から [0:0:1][0:0:1] だけで、そこで ∂/∂x0\partial/\partial x_0 は x22−x12=1≠0x_2^2-x_1^2=1\neq0。(2) の射影閉包 x0x22=x13x_0x_2^2=x_1^3 の無限遠点も [0:0:1][0:0:1] だけで、∂/∂x0=x22=1≠0\partial/\partial x_0=x_2^2=1\neq0(第5回の例11(2))。

    (3) の無限遠点は x13+x23=0x_1^3+x_2^3=0 をみたし、x1x2≠0x_1x_2\neq0 である。そこで ∂(x13+x23−3x0x1x2)/∂x0=−3x1x2≠0\partial(x_1^3+x_2^3-3x_0x_1x_2)/\partial x_0=-3x_1x_2\neq0(標数 ≠3\neq3)。

k=Qk=\mathbb{Q} で数を入れると、(1) の t=2t=2 は (3,6)(3,6)(36=9⋅436=9\cdot4)、(3) の t=2t=2 は (2/3, 4/3)(2/3,\ 4/3) です。8/27+64/27=72/27=8/38/27+64/27=72/27=8/3 と 3⋅(2/3)(4/3)=8/33\cdot(2/3)(4/3)=8/3 が一致します。

種数は負にならないので、定理から ∑δP≤(d−1)(d−2)/2\sum\delta_P\leq(d-1)(d-2)/2 です。3次曲線なら右辺は1なので、既約な3次曲線の特異点は高々1つです。

これはベズーの定理からも分かります。2つの特異点 P,QP,Q を通る直線は、PP と QQ でそれぞれ2重以上に交わり、交点の合計が 4>34>3 になります。すると直線が曲線の成分になり、既約性に反します。

例10 タクノードをもつ4次曲線

kk の標数は2でないとし、C: y2=x4+y4C:\ y^2=x^4+y^4(射影閉包は x02x22=x14+x24x_0^2x_2^2=x_1^4+x_2^4)とする。CC は既約で、特異点は原点のタクノードだけで、δ=2\delta=2 である。よって幾何種数は 3−2=13-2=1 である。

証明
  1. f=x4+y4−y2f=x^4+y^4-y^2 の平面の特異点は原点だけである。

    fx=4x3=0f_x=4x^3=0 から x=0x=0。すると f=y2(y2−1)=0f=y^2(y^2-1)=0 と fy=2y(2y2−1)=0f_y=2y(2y^2-1)=0 から y=0y=0(y2=1y^2=1 なら 2y2−1=1≠02y^2-1=1\neq0)。

  2. 無限遠点は x14+x24=0x_1^4+x_2^4=0、x1≠0x_1\neq0 で、∂/∂x1=4x13≠0\partial/\partial x_1=4x_1^3\neq0 なので非特異である。
  3. 原点は重複度2で、1回ブローアップすると狭義変換 m2=x2(1+m4)m^2=x^2(1+m^4) に結節点が残り、2回目で非特異になる。よって δ=1+1=2\delta=1+1=2。

    f(x,mx)=x2(x2+m4x2−m2)f(x,mx)=x^2\bigl(x^2+m^4x^2-m^2\bigr) で、狭義変換の原点での最低次の部分は x2−m2x^2-m^2(重複度2、接方向は2つ)。m=m′xm=m'x とおくと x2(1+m′4x4−m′2)x^2(1+m'^4x^4-m'^2) で、狭義変換 m′2=1+m′4x4m'^2=1+m'^4x^4 は x=0x=0 の2点 m′=±1m'=\pm1 で非特異である。

  4. 既約である。f=x4−y2(1−y)(1+y)f=x^4-y^2(1-y)(1+y) は、k[y]k[y] の素元 1−y1-y についてのアイゼンシュタインの判定法をみたす。

    xx の多項式として最高次の係数は1、途中の係数は0、定数項 −y2(1−y)(1+y)-y^2(1-y)(1+y) は 1−y1-y で割り切れ、(1−y)2(1-y)^2 では割り切れない。よって k[y][x]=k[x,y]k[y][x]=k[x,y] で既約である。

実数の点では、y2(1−y2)=x4≥0y^2(1-y^2)=x^4\geq0 から ∣y∣≤1|y|\leq1 で、上と下の2つの輪が原点で接した形です。幾何種数1の検算は、次の節のリーマン・フルヴィッツの公式でもできます。

専門的な話算術種数とヒルベルト多項式

特異点をもつ曲線にも、方程式だけから決まる種数があります。Y⊆PnY\subseteq\mathbb{P}^n を rr 次元の射影多様体、S(Y)S(Y) をその斉次座標環とします。ll 次の部分の次元 dim⁡kS(Y)l\dim_kS(Y)_l は、ll が十分大きいと ll の多項式 PY(l)P_Y(l) に一致します。これをヒルベルト多項式と呼びます[2, 定理7.5, p.70; 2, 定義, p.71]。

pa(Y)=(−1)r(PY(0)−1)p_a(Y)=(-1)^r\bigl(P_Y(0)-1\bigr) を算術種数と呼びます[2, 演習7.2, p.74]。dd 次の平面曲線では、S(Y)=k[x0,x1,x2]/(F)S(Y)=k[x_0,x_1,x_2]/(F) の ll 次の部分の次元は、ll 次の斉次式の空間の次元から、FF の倍数(l−dl-d 次の斉次式に FF を掛けたもの)の空間の次元を引いたものです。よって l≥dl\geq d で

PY(l)=(l+22)−(l−d+22)=dl−d(d−3)2pa=1−PY(0)=(d−1)(d−2)2P_Y(l)=\binom{l+2}{2}-\binom{l-d+2}{2}=dl-\frac{d(d-3)}{2}\qquad p_a=1-P_Y(0)=\frac{(d-1)(d-2)}{2}PY(l)=(l+22)−(l−d+22)=dl−d(d−3)2pa=1−PY(0)=(d−1)(d−2)2\begin{gathered}P_Y(l)=\binom{l+2}{2}-\binom{l-d+2}{2}=dl-\frac{d(d-3)}{2}\\p_a=1-P_Y(0)=\frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{gathered}PY(l)=(l+22)−(l−d+22)=dl−d(d−3)2pa=1−PY(0)=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}P_Y(l) &= \binom{l+2}{2}-\binom{l-d+2}{2}\\&= dl-\frac{d(d-3)}{2}\\[4pt]p_a &= 1-P_Y(0)\\&= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}PY(l)=(l+22)=−(l−d+22)=dl−d(d−3)2pa=1−PY(0)=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}P_Y(l) &= \binom{l+2}{2}\\&\phantom{=}{} -\binom{l-d+2}{2}\\&= dl-\frac{d(d-3)}{2}\\[4pt]p_a &= 1-P_Y(0)\\&= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}

です。例えば d=3d=3 なら PY(l)=3lP_Y(l)=3l、pa=1p_a=1、d=4d=4 なら PY(l)=4l−2P_Y(l)=4l-2、pa=3p_a=3 です。

この計算は FF が特異点をもつかどうかによりません。結節点の3次曲線でも pa=1p_a=1 です。一方、幾何種数は0でした。2つの種数の差が δP\delta_P の和で、ハーツホーンは δP\delta_P を、局所環 OP\mathcal{O}_P とその整閉包 O~P\widetilde{\mathcal{O}}_P の差の長さとして定義しています[1, 演習1.8, p.8]。

pa(C)=g(C~)+∑PδPδP=length⁡(O~P/OP)p_a(C)=g(\widetilde C)+\sum_P\delta_P\qquad \delta_P=\operatorname{length}\bigl(\widetilde{\mathcal{O}}_P/\mathcal{O}_P\bigr)pa(C)=g(C~)+∑PδPδP=length⁡(O~P/OP)\begin{gathered}p_a(C)=g(\widetilde C)+\sum_P\delta_P\\\delta_P=\operatorname{length}\bigl(\widetilde{\mathcal{O}}_P/\mathcal{O}_P\bigr)\end{gathered}pa(C)=g(C~)+∑PδPδP=length⁡(O~P/OP)\begin{aligned}p_a(C) &= g(\widetilde C)+\sum_P\delta_P\\[4pt]\delta_P &= \operatorname{length}\bigl(\widetilde{\mathcal{O}}_P/\mathcal{O}_P\bigr)\end{aligned}

非特異な曲線では pa=gp_a=g です[1, 命題1.1, p.2]。結節点 y2=x2(x+1)y^2=x^2(x+1) では、O~P\widetilde{\mathcal{O}}_P は t=y/xt=y/x を加えた環で、O~P/OP\widetilde{\mathcal{O}}_P/\mathcal{O}_P は tt の類で張られる1次元の空間です。

分岐から種数を数える:リーマン・フルヴィッツの公式

楕円曲線 y2=x3−xy^2=x^3-x の点 (x,y)(x,y) に xx を対応させる写像を考えます。ほとんどの xx の上には2点 (x,±y)(x,\pm y) がありますが、y=0y=0 になる x=0,1,−1x=0,1,-1 の上には1点しかありません。このように点が重なる場所を数えると、種数が分かります。

曲線の間の定数でない射 f ⁣:X→Yf\colon X\to Y は有限射で、その次数は関数体の拡大次数 n=[K(X):K(Y)]n=[K(X):K(Y)] です[2, §II.6, p.187]。K(X)K(X) が K(Y)K(Y) の分離拡大のとき、ff は分離的であると言います。標数0ならいつも分離的です。

定義11 分岐指数 [1, §IV.2, p.9]

f ⁣:X→Yf\colon X\to Y を曲線の間の有限射、P∈XP\in X、Q=f(P)Q=f(P) とする。tt を QQ での局所パラメータ(ord⁡Q(t)=1\operatorname{ord}_Q(t)=1 となる関数)とし、

eP=ord⁡P(t∘f)e_P=\operatorname{ord}_P(t\circ f)eP=ord⁡P(t∘f)\begin{aligned}e_P &= \operatorname{ord}_P(t\circ f)\end{aligned}

を PP での分岐指数と呼ぶ。eP>1e_P>1 のとき ff は PP で分岐していると言い、QQ を分岐点と呼ぶ。標数が0か、標数が ePe_P を割り切らないとき、分岐は馴(tame)であると言う。

各点 Q∈YQ\in Y の上の分岐指数の和は、次数に等しくなります[2, 命題6.9, p.187–188]。

∑f(P)=QeP=n\sum_{f(P)=Q}e_P=n∑f(P)=QeP=n\begin{aligned}\sum_{f(P)=Q}e_P &= n\end{aligned}

nn 個の点のうちいくつかが重なって、重なった点に重さ ePe_P を付けたもの、と考えられます。第8回の x2=tx^2=t の族の t=0t=0 で見た「重なった点」(第8回の例11)と同じ現象です。

定理12 リーマン・フルヴィッツの公式 [1, 系2.4, p.12]

f ⁣:X→Yf\colon X\to Y を曲線の間の有限で分離的な nn 次の射とし、分岐はすべて馴であるとする。このとき

2g(X)−2=n(2g(Y)−2)+∑P∈X(eP−1)2g(X)-2=n\bigl(2g(Y)-2\bigr)+\sum_{P\in X}(e_P-1)2g(X)−2=n(2g(Y)−2)+∑P∈X(eP−1)\begin{aligned}2g(X)-2 &= n\bigl(2g(Y)-2\bigr)+\sum_{P\in X}(e_P-1)\end{aligned}2g(X)−2=n(2g(Y)−2)=+∑P∈X(eP−1)\begin{aligned}2g(X)-2 &= n\bigl(2g(Y)-2\bigr)\\&\phantom{=}{} +\sum_{P\in X}(e_P-1)\end{aligned}

が成り立つ。右辺の和は、分岐している有限個の点だけが寄与する。

証明
  1. YY の0でない有理微分形式 ω\omega をとる。ff が分離的なので、引き戻し f∗ωf^*\omega も0でない有理微分形式である。
  2. P∈XP\in X、Q=f(P)Q=f(P) で、ord⁡P(f∗ω)=ePord⁡Q(ω)+(eP−1)\operatorname{ord}_P(f^*\omega)=e_P\operatorname{ord}_Q(\omega)+(e_P-1) である。

    QQ での局所パラメータを tt、PP での局所パラメータを uu とすると、t∘f=a uet\circ f=a\,u^{e}(e=ePe=e_P、aa は PP で値が0でない関数)と書ける。ω=h dt\omega=h\,dt と書くと

    f∗ω=(h∘f) d(a ue)=(h∘f)(e a ue−1+uedadu)duf^*\omega=(h\circ f)\,d(a\,u^e)=(h\circ f)\Bigl(e\,a\,u^{e-1}+u^e\frac{da}{du}\Bigr)duf∗ω=(h∘f) d(a ue)=(h∘f)(e a ue−1+uedadu)du\begin{aligned}f^*\omega &= (h\circ f)\,d(a\,u^e)\\&= (h\circ f)\Bigl(e\,a\,u^{e-1}+u^e\frac{da}{du}\Bigr)du\end{aligned}

    ord⁡P(h∘f)=eord⁡Q(h)\operatorname{ord}_P(h\circ f)=e\operatorname{ord}_Q(h) である。馴なので kk の中で e≠0e\neq0 で、括弧の中の位数は e−1e-1 になる。

  3. 次数をとると deg⁡div⁡(f∗ω)=ndeg⁡div⁡(ω)+∑(eP−1)\deg\operatorname{div}(f^*\omega)=n\deg\operatorname{div}(\omega)+\sum(e_P-1)。

    ∑PePord⁡f(P)(ω)=∑Qord⁡Q(ω)∑f(P)=QeP=n∑Qord⁡Q(ω)\sum_P e_P\operatorname{ord}_{f(P)}(\omega)=\sum_Q\operatorname{ord}_Q(\omega)\sum_{f(P)=Q}e_P=n\sum_Q\operatorname{ord}_Q(\omega) である。

  4. 両辺の因子は KXK_X と KYK_Y を表すので、命題2から 2g(X)−2=n(2g(Y)−2)+∑(eP−1)2g(X)-2=n(2g(Y)-2)+\sum(e_P-1)。

分岐が馴でないときも、∑(eP−1)\sum(e_P-1) をもっと大きい数に取り替えれば、同じ形の式が成り立ちます[1, 命題2.2, p.11]。分離的でないときは f∗ω=0f^*\omega=0 となり、この証明は使えません。

例13 楕円曲線の xx 座標

kk の標数は2でないとし、EE を y2=x3−xy^2=x^3-x の非特異な射影曲線、OO を無限遠点とする。xx 座標の射 x ⁣:E→P1x\colon E\to\mathbb{P}^1 は2次で分離的である。

(1) a∉{0,1,−1}a\notin\{0,1,-1\} の上には2点 (a,±b)(a,\pm b)(b2=a3−a≠0b^2=a^3-a\neq0)があり、どちらも e=1e=1。
(2) 0,1,−10,1,-1 の上にはそれぞれ1点 (0,0)(0,0)、(1,0)(1,0)、(−1,0)(-1,0) があり、e=2e=2。
(3) ∞\infty の上には1点 OO があり、e=2e=2。

∑(eP−1)=4\sum(e_P-1)=4 で、リーマン・フルヴィッツの公式は 2⋅1−2=2⋅(0−2)+42\cdot1-2=2\cdot(0-2)+4、つまり 0=00=0 となる。

証明
  1. x3−xx^3-x は k(x)k(x) で平方でないので [k(x,y):k(x)]=2[k(x,y):k(x)]=2。T2−(x3−x)T^2-(x^3-x) の根 ±y\pm y は異なる(標数 ≠2\neq2)ので分離的である。
  2. (1) 2点あり、分岐指数の和が2なので、どちらも e=1e=1。
  3. (2)(3) 第10回の例19の div⁡(x)=2(0,0)−2O\operatorname{div}(x)=2(0,0)-2O から、ord⁡(0,0)(x)=2\operatorname{ord}_{(0,0)}(x)=2、ord⁡O(1/x)=2\operatorname{ord}_O(1/x)=2。xx、1/x1/x はそれぞれ 00、∞\infty での局所パラメータなので e=2e=2。x∓1x\mp1 も同様である。

    x−1x-1 については、y2=(x−1)⋅x(x+1)y^2=(x-1)\cdot x(x+1) で、x(x+1)x(x+1) は (1,0)(1,0) で値 2≠02\neq0 をとる。よって ord⁡(1,0)(x−1)=2ord⁡(1,0)(y)\operatorname{ord}_{(1,0)}(x-1)=2\operatorname{ord}_{(1,0)}(y) は偶数で、分岐指数は2以下なので2である。x+1x+1 も同じ。

k=Ck=\mathbb{C} で数を入れると、x=2x=2 の上には (2,±6)(2,\pm\sqrt6) の2点、x=ix=i の上には y2=i3−i=−2iy^2=i^3-i=-2i から (i,±(1−i))(i,\pm(1-i)) の2点があります。(1−i)2=−2i(1-i)^2=-2i です。xx が 00 に近づくと2点の距離が縮み、x=0x=0 で1点に重なります。

ドラッグで回せます
図3具体例例13を k=Ck=\mathbb{C} で描いた図です。床の平面は xx の複素平面(横が Re⁡x\operatorname{Re}x、奥が Im⁡x\operatorname{Im}x)で、各 xx の上に yy と −y-y の2点を、高さ 0.5 Re⁡y0.5\,\operatorname{Re}y と −0.5 Re⁡y-0.5\,\operatorname{Re}y に置いています(青と緑)。「真上」から見ると2枚が重なり、これが2対1の射 xx です。回すと2枚は上下に分かれ、分岐点 x=0,±1x=0,\pm1(黒)で1枚につながります。もう1つの分岐点 ∞\infty は図の外です。オレンジは実数の点で、「正面」から見ると第12回の図1の y2=x3−xy^2=x^3-x を縦に半分に縮めた形です。Im⁡y\operatorname{Im}y を捨てているので、Re⁡y=0\operatorname{Re}y=0 となる曲線(x3−xx^3-x が負の実数になる所)でも2枚が交わって見えますが、そこでは Im⁡y\operatorname{Im}y が違い、本当は離れています。

同じ計算で、y2=f(x)y^2=f(x) の形の曲線の種数がすべて求まります。ff の次数が4以上だと、平面の射影閉包は無限遠点で特異になります[1, 演習3.5, p.143]。そこで、射影閉包の正規化(定義7)、つまり関数体が k(x)[y]/(y2−f)k(x)[y]/(y^2-f) の非特異な射影曲線を考えます。

例14 y2=f(x)y^2=f(x) の種数 [1, 演習2.2, p.16]

kk の標数は2でないとし、f∈k[x]f\in k[x] を重根をもたない mm 次式(m≥1m\geq1)、XX を y2=f(x)y^2=f(x) の非特異な射影曲線とする。x ⁣:X→P1x\colon X\to\mathbb{P}^1 は2次で、分岐点は

(1) ff の mm 個の根(それぞれ1点、e=2e=2)と、
(2) mm が奇数のときの ∞\infty(1点、e=2e=2)。mm が偶数なら ∞\infty の上は2点で分岐しない。

よって分岐点は mm が奇数なら m+1m+1 個、偶数なら mm 個で、

g(X)=⌈m2⌉−1g(X)=\Bigl\lceil\frac m2\Bigr\rceil-1g(X)=⌈m2⌉−1\begin{aligned}g(X) &= \Bigl\lceil\frac m2\Bigr\rceil-1\end{aligned}

である。言い換えると、m=2g+1m=2g+1 または m=2g+2m=2g+2 である。

証明
  1. ff は重根をもたない1次以上の式なので k[x]k[x] で平方でなく、k(x)k(x) でも平方でない。よって T2−fT^2-f は k(x)k(x) 上既約で、xx は2次の射である。根 ±y\pm y は異なる(標数 ≠2\neq2)ので分離的である。
  2. XX のうち x≠∞x\neq\infty の部分は、平面曲線 y2=f(x)y^2=f(x) そのものである。ff が重根をもたないので、この平面曲線は非特異である。

    特異点では 2y=02y=0 かつ f′(x)=0f'(x)=0 かつ y2=f(x)y^2=f(x) なので、f(x)=f′(x)=0f(x)=f'(x)=0 となり、xx が ff の重根になる。

  3. 根 aa の上の点 P=(a,0)P=(a,0) では eP=2e_P=2。

    f=(x−a)h(x)f=(x-a)h(x)、h(a)≠0h(a)\neq0 と書くと y2=(x−a)hy^2=(x-a)h で、hh は PP で値が0でない。よって eP=ord⁡P(x−a)=2ord⁡P(y)e_P=\operatorname{ord}_P(x-a)=2\operatorname{ord}_P(y) は偶数で、1≤eP≤21\leq e_P\leq2 から eP=2e_P=2。

  4. f(a)≠0f(a)\neq0 なら、aa の上には y=±f(a)y=\pm\sqrt{f(a)} の異なる2点があり、分岐しない。
  5. ∞\infty では s=1/xs=1/x、w=y/x⌈m/2⌉w=y/x^{\lceil m/2\rceil} とおくと w2=s2⌈m/2⌉−m h~(s)w^2=s^{2\lceil m/2\rceil-m}\,\tilde h(s)、h~(0)≠0\tilde h(0)\neq0。mm が偶数なら w=±h~(0)w=\pm\sqrt{\tilde h(0)} の2点、奇数なら w2=s h~(s)w^2=s\,\tilde h(s) で、根の上の点と同じく e=2e=2。

    f=cmxm+⋯+c0f=c_mx^m+\cdots+c_0 なら f/x2⌈m/2⌉=s2⌈m/2⌉−m(cm+cm−1s+⋯+c0sm)f/x^{2\lceil m/2\rceil}=s^{2\lceil m/2\rceil-m}(c_m+c_{m-1}s+\cdots+c_0s^m) で、h~(0)=cm≠0\tilde h(0)=c_m\neq0 である。

  6. リーマン・フルヴィッツの公式に代入して 2g−2=2⋅(−2)+2⌈m/2⌉2g-2=2\cdot(-2)+2\lceil m/2\rceil、つまり g=⌈m/2⌉−1g=\lceil m/2\rceil-1。

数を入れます。y2=x3−xy^2=x^3-x は m=3m=3 で g=1g=1 です。y2=x5−xy^2=x^5-x と y2=x6−1y^2=x^6-1(標数3では x6−1=(x2−1)3x^6-1=(x^2-1)^3 が重根をもつので除く)は m=5,6m=5,6 で g=2g=2、m=7,8m=7,8 なら g=3g=3 です。非特異な平面曲線には現れなかった種数2の曲線も、この形なら作れます。どの gg についても、P1\mathbb{P}^1 の 2g+22g+2 点で分岐する2重被覆として、種数 gg の曲線が作れます。ただし、種数3以上の曲線がすべてこの形になるわけではありません。例えば非特異な平面4次曲線は、P1\mathbb{P}^1 への2次の射をもちません[1, 演習3.2, p.32]。

定理8とも比べられます。y2=x5−xy^2=x^5-x の射影閉包は5次曲線で、(5−1)(5−2)/2=6(5-1)(5-2)/2=6 です。無限遠点 [0:0:1][0:0:1] は重複度3の特異点で、ブローアップすると重複度2の点が1つ現れるので、δ=3+1=4\delta=3+1=4 です。6−4=26-4=2 となり、分岐から求めた種数と一致します。

−3-3
−2-2
−1-1
11
22
33
(x, y)(x,\ y)
(x,−y)(x,-y)
P1\mathbb{P}^1(xx 座標)
y2=−(x2−1)(x2−4)(x2−9)y^2=-(x^2-1)(x^2-4)(x^2-9)
図4具体例種数2の曲線 y2=−(x2−1)(x2−4)(x2−9)y^2=-(x^2-1)(x^2-4)(x^2-9)(m=6m=6)の実数の点です。右辺が0以上になるのは xx が [−3,−2][-3,-2]、[−1,1][-1,1]、[2,3][2,3] にあるときで、実数の点はその上の3つの輪になります。下の線は xx 座標の P1\mathbb{P}^1 で、オレンジの6点 ±1,±2,±3\pm1,\pm2,\pm3 が分岐点です。x=0.5x=0.5 の上には2点 (x,±y)(x,\pm y)、分岐点の上には1点があります。2⋅2−2=2⋅(−2)+62\cdot2-2=2\cdot(-2)+6 です。

例15 フェルマー曲線を P1\mathbb{P}^1 に写す

kk の標数は dd を割り切らないとし、CC を例6のフェルマー曲線 x1d+x2d=x0dx_1^d+x_2^d=x_0^d とする。[x0:x1:x2]↦[x0:x1][x_0:x_1:x_2]\mapsto[x_0:x_1] は dd 次の射 C→P1C\to\mathbb{P}^1 で、xd=1x^d=1 となる dd 個の点の上ではそれぞれ1点(e=de=d)、ほかでは分岐しない。

2g−2=d⋅(−2)+d(d−1)=d(d−3)g=(d−1)(d−2)22g-2=d\cdot(-2)+d(d-1)=d(d-3)\qquad g=\frac{(d-1)(d-2)}{2}2g−2=d⋅(−2)+d(d−1)=d(d−3)g=(d−1)(d−2)2\begin{gathered}2g-2=d\cdot(-2)+d(d-1)=d(d-3)\\g=\frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{gathered}2g−2=d⋅(−2)+d(d−1)=d(d−3)g=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}2g-2 &= d\cdot(-2)+d(d-1)\\&= d(d-3)\\[4pt]g &= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}2g−2=d⋅(−2)=+d(d−1)=d(d−3)g=(d−1)(d−2)2\begin{aligned}2g-2 &= d\cdot(-2)\\&\phantom{=}{} +d(d-1)\\&= d(d-3)\\[4pt]g &= \frac{(d-1)(d-2)}{2}\end{aligned}
証明
  1. 点 [0:0:1][0:0:1] は CC の上にないので、この射影は CC 全体で定義される。x=x1/x0x=x_1/x_0 の上の点は yd=1−xdy^d=1-x^d の解である。
  2. 1−xd1-x^d は x=1x=1 で1位の零点をもつので、Td−(1−xd)T^d-(1-x^d) は k(x)k(x) 上アイゼンシュタインで既約、次数は dd。標数が dd を割り切らないので分離的である。
  3. xd≠1x^d\neq1 の上には yy が dd 個、無限遠 x0=0x_0=0 の上には x2d=−x1dx_2^d=-x_1^d の dd 点がある。xd=1x^d=1 の上は y=0y=0 の1点で、分岐指数の和から e=de=d(馴)。

命題5は第13回の deg⁡K=d(d−3)\deg K=d(d-3) から導きましたが、フェルマー曲線ではリーマン・フルヴィッツの公式から同じ値が出ました。2つの計算は独立なので、検算になります。

例10の4次曲線 y2=x4+y4y^2=x^4+y^4 も、正規化 C~\widetilde C を yy 座標で P1\mathbb{P}^1 に写して確かめられます。x4=y2(1−y2)x^4=y^2(1-y^2) なので4次の射で、y=±1y=\pm1 の上は1点ずつ(e=4e=4)です。y=0y=0 の上は、タクノードの2本の枝にあたる2点で、どちらも e=2e=2 です。∑(eP−1)=3+3+1+1=8\sum(e_P-1)=3+3+1+1=8 で、2g−2=4⋅(−2)+8=02g-2=4\cdot(-2)+8=0、g=1g=1 です。

もう少し詳しく位相で見たリーマン・フルヴィッツの公式

k=Ck=\mathbb{C} なら、公式はオイラー標数の数え上げとして読めます。Y(C)Y(\mathbb{C}) を三角形に分け、分岐点が頂点に来るようにします。各三角形と各辺は、X(C)X(\mathbb{C}) の中に nn 個ずつの逆像をもちます。

頂点 QQ の逆像は nn 個ではなく、n−∑f(P)=Q(eP−1)n-\sum_{f(P)=Q}(e_P-1) 個です。よって

χ(X(C))=n χ(Y(C))−∑P(eP−1)\chi\bigl(X(\mathbb{C})\bigr)=n\,\chi\bigl(Y(\mathbb{C})\bigr)-\sum_P(e_P-1)χ(X(C))=n χ(Y(C))−∑P(eP−1)\begin{aligned}\chi\bigl(X(\mathbb{C})\bigr) &= n\,\chi\bigl(Y(\mathbb{C})\bigr)-\sum_P(e_P-1)\end{aligned}χ(X(C))=n χ(Y(C))=−∑P(eP−1)\begin{aligned}\chi\bigl(X(\mathbb{C})\bigr) &= n\,\chi\bigl(Y(\mathbb{C})\bigr)\\&\phantom{=}{} -\sum_P(e_P-1)\end{aligned}

χ=2−2g\chi=2-2g を代入し、符号を変えると、リーマン・フルヴィッツの公式になります。

y2=x3−xy^2=x^3-x では、球面(χ=2\chi=2)の2枚分 44 から、4つの分岐点の分 44 を引いて χ=0\chi=0、つまりトーラスです。図3の青と緑の2枚の面に、図の外の部分と ∞\infty の上の点 OO を加えた全体が、このトーラスにあたります。ただし2枚は分岐点だけでつながっているのではありません。Re⁡y=0\operatorname{Re}y=0 の曲線を横切るように xx を動かすと、yy は青の面から緑の面へ連続に移ります。

まとめ:種数の求め方

求め方式例
正則な微分形式g=ℓ(K)g=\ell(K)4次曲線で ω, xω, yω\omega,\ x\omega,\ y\omega:g=3g=3
標準因子の次数deg⁡K=2g−2\deg K=2g-2P1\mathbb{P}^1 で −2-2、楕円曲線で 00
複素数の点穴の数、χ=2−2g\chi=2-2g球面、トーラス、穴2つの曲面
非特異な平面曲線(d−1)(d−2)/2(d-1)(d-2)/2d=1,…,5d=1,\dots,5 で 0,0,1,3,60,0,1,3,6
特異点のある平面曲線(d−1)(d−2)/2−∑δP(d-1)(d-2)/2-\sum\delta_P結節点・尖点の3次曲線で 00、タクノードの4次曲線で 11
射の分岐2gX−2=n(2gY−2)+∑(eP−1)2g_X-2=n(2g_Y-2)+\sum(e_P-1)y2=f(x)y^2=f(x)、deg⁡f=2g+1, 2g+2\deg f=2g+1,\,2g+2

種数は、正則な微分形式の数、標準因子の次数、複素数の点の穴の数という3通りに見ることができました。平面曲線では次数から決まり、特異点があるとその分だけ減ります。射で別の曲線に写すと、分岐の数から種数が分かります。

同じ曲線の種数を、違う方法で求めて一致を確かめる場面が何度もありました。フェルマー曲線は標準因子とリーマン・フルヴィッツの公式で、y2=x5−xy^2=x^5-x は特異点の δ\delta と分岐で、タクノードの4次曲線は δ\delta と分岐で計算しました。

第1回から第16回までを振り返る

連載はここで一区切りです。これまでの回で扱ったことを並べます。

  • 第1回:零点集合 VV とイデアル II の対応と零点定理。
  • 第2回:素イデアルを点にした Spec⁡A\operatorname{Spec}A と生成点。
  • 第3回:層・茎・芽と構造層。
  • 第4回:スキームと貼り合わせ、射影直線。
  • 第5回:射影平面と Proj、平行線が無限遠で交わること。
  • 第6回:接空間と特異点、接錐。
  • 第7回:ブローアップで特異点をほどく。
  • 第8回:射とファイバー、族。
  • 第9回:交点重複度とベズーの定理。
  • 第10回:離散付値環、因子と主因子。
  • 第11回:直線束(可逆層)と O(n)\mathcal{O}(n)。
  • 第12回:楕円曲線と弦と接線の足し算。
  • 第13回:微分形式と標準因子。
  • 第14回:チェック・コホモロジー。
  • 第15回:リーマン・ロッホの定理。
  • 第16回(この記事):種数を方程式と分岐から読む。

第1回の零点集合から始めて、曲線の種数という1つの数にたどり着きました。種数は、微分形式、因子、コホモロジー、位相のどれから求めても同じ数になり、この連載で扱った道具がすべて関わってきます。

次回からは曲線を離れ、射影空間の中の曲面や多様体を見ます。最初は、2方向の直線で編まれた2次曲面と、2つの射影直線の積を射影空間に入れるセグレ埋め込みです。

参考文献

  1. R. ハーツホーン(高橋宣能・松下大介 訳), 『代数幾何学 3』, 丸善出版, 2012.
  2. R. ハーツホーン(高橋宣能・松下大介 訳), 『代数幾何学 1』, 丸善出版, 2013.